雪恋ふ花 -Snow Drop-
何本か自由に滑った後、春人が提案したのは、ちょっと恥ずかしい練習方法だった。
ストックを置き、背中から抱きかかえられるように滑る。
珠の板を挟むように外側から春人の板が固定して、体の動きを体感できるというのだが。
「だいじょうぶだ。はたから見たら、親子にしか見えないから」
「今の、ちょっと傷ついた」
「そうか? 上手くなるためだから、辛抱しろ」
春人は容赦ない。
それでも本気で上達を目指してくれていることに、珠はくすぐったい想いでいた。
ウェアを通して伝わってくる、春人の体温が心地いい。
カーブの足の動きや体の傾きを春人の動きを通して、珠は習得していった。