雪恋ふ花 -Snow Drop-

「あ、いや……」

また言い過ぎたことに気づいて、春人が慌てて様子をうかがったが、彼女は全く気にしてないようだった。


「連れはいたんですけど、はぐれちゃって」

「どこで、はぐれた?」

「それが……」

彼女が口ごもる。


「どうした?」


すると、彼女の口から、思いもよらない一言がもれた。

「このスキー場、初めて来たから、よくわからなくて……」


その瞬間、春人は最も苦手なやっかいごとに、自分が巻き込まれたことに気がついた。

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