士農工商犬猫ドンバ
ビータ
やっと来たぞ
おおい早くしろ!5分しか停まんねえぞ!
出口に楽器集めろ。おう開いたぞ、よっしゃ行けえ!
ミミ、ベーアン担げ。 コバ、そこベードラ転がってんぞ。
ユニケー窓から投げろ! ターギ投げんなよ。
痛えぇ!何やってんだよ。 楽器ぶつけんなよ!
ユキオ! ルービなんかほっとけ、お茶もいらねえ。
もったいねえよ。
ばか、おい早くしろよ、おお危ねえぞ!
「おたくらなんな!邪魔やん」
うっせえ、楽器降ろしてんだ。
「降りれんよ!」
すいません、あっちのドア行って下さい。
ターギのアンプまだだ!早く行け!
やべえ、カバン椅子の下だ。取ってくる。
ばかやろ、なにやってんだユキオ! 早くしろ!
<ピーーーッ! ピッ!バンッ プシュー>
ひぃ、やったぁ、なんか飲みてえ。
ふー 忘れもんねえかあ。
だいじょぶだ。やった~しかし・・疲れた腹へったぁ。
とりあえず、そこのグイタチでバーソでも食うか。
いやぁ待って、ちょいプクイチしよう。
俺も1本くれ。テッカリ貸してくれ。
ふ~わぁ~やったな。 なんとか。
あのチャンバー、怒鳴ってやんの。 ばっきゃろ。
でも、さみいな。さすが広島。
おぉ、さすがシマヒロ。 うへえ。
ついに来ちゃったな。
あぁ来ちゃった来ちゃった。
<というわけで、俺等は上海じゃなく広島に来ちゃった。
しかも電車で。
ジャーマネは、ジャンマーでボロ負けでヤーサンに喧嘩売って
ボコボコにされて入院したが、ポリ公が聴取に来る前にズラトン。
俺等はもり○の親父が何とか面倒見てくれて、
広島ビータとなったわけだ。
シャンハイは夢と消えた。
俺等三人にヤノピのユキオ入れて、3カ月のハコだ。
イズミとミミは二回目、俺は初めて。
クーキャはベトナム帰りの兵隊とグルーピー。
シーメ付でケーサもありナオンもあり。
もう・・やるっきゃねえ>
ところでイズミ、セーミいつ行くの?
このまま行こうか。
12時前か。 とりあえずバーソ食ったら楽器入れ込んで、
セーミでセッティングだな。そんで牛田の寮行って練習。
この時間でセーミ開いてんの?
わかんねえ。 それよりこの楽器積めるシータク探してよ。
おお、やっぱ2台か。楽器ぶち込んで俺等も乗らなきゃ。
あっこにシータク乗り場あるぜ。 ユキオ聞いてこいよ。
運ちゃんと喧嘩しながら楽器を座席とトランクに押し込んで、
身動きできず広島弁は聞き取れず、メーター気にしながら、
ベーション我慢して着いた。
ハコは〇ャラバン。 GSの登竜門だ。
音は出し放題。 ここで音まとめてくドンバは多い。
早い時間は3バンド、深夜は2バン。
6時半から朝4時までの7回ステージ、休みは月2日。
ハマと同じだが、ビータだからちょいネカはいい。
裏の非常口から入って2時間でとりあえずセッティング完了。
百メーター道路の食堂でハムカツ定食食って一服。ふうーっ
シータクで20分130円。 牛田の寮に着いた。
「イズミとミミは角の部屋?」
俺どこでもいいよ
「じゃあ俺と一緒にしてよ ミミとユキオでいい?」
「俺はいいけど、いびきかくなよユキオ」
だいじょぶっすよ
「んじゃ とりあえず乾杯だな」
ああ、ちょっと疲れたな。ルービは?
おお、さすがミミ。 じゃ乾杯だ、おつかれさん!
明日からだな。7回ステージだろ、とりあえず百曲要るな。
ああ、曲選らばねえとな。 少し増やすか。
しかし寒い部屋だな。 ストーブねえのかよ。
知らねえ。犬がすっげえ居る。こりゃヌーイ天国だな ヒヒ。
よし、とりあえず曲目書こうか。
ああ、適当にメニュー作ってステージの横に貼り付けて演るか。
そんじゃ見えねえだろ、ステージ結構広いしな。
そうだな。 じゃイズミがメニュー作ってみんなに渡してさ、
そんでやんなきゃ無理じゃねえのか。
俺が毎回メニュー作んの?
1週間分作っといて回せばいいじゃん。
・・ああ、そうすっか。
ステージの時間違うから、10曲のと20曲の2種類作っといた
ほうがいいんじゃねえの。
20は多いだろ、1時間超えちゃうぜ。一番長くて50分
ステージだしよ。チェンジ曲入れたって15くらいだろ。
まあ念の為よ。 毎回同じ曲も飽きんだろよ。
そんでMCだって日本語で長ったらしくできねえぞ。
相手はアメ公だぜ。リクエストも結構来んだろ。
できなきゃプーチこねえぞ。
心配すんな。 前もクリーデンスとかトリカンは受けた。
ロックンロールやっときゃだいじょぶだ。
そういうこと。 俺等は何でも演んだからあとはユキオだ。
ひえぇ俺かよ?
ったりめえだろ。じゃあ立ちんぼか?いいよギャラ半分な。
そりゃねえよ、やるよ教えてよ。
よっしゃ、明日は3時にセーミ入って音合わせやろうぜ。
OK、じゃお湯沸かしてメンラーか。
疲れた、ローフ入りてえ。
ねえ、曲とコードくらい教えてよ。
ばかやろう、ほとんどスリーコードだ。
だって、行きかたとか構成もあんじゃんよ。
わかった。 じゃあちょっとさらおうぜ。
曲書くから、お前が知らねえのだけ言えよ。
うん。 あと行きかたとかも...。
お前さ、いい加減にしろよ。
ロックバンドでいちいちメンフ見てやる奴はいねえよ。
バッカじゃねえの。 かっこわりいだろよ。
いいか、サビ行くときはイズミがサビー!って言う。
時間見て延ばす時はワンモー!そしたらアドリブかターウで
埋める。 終わる時はアウトーって指バッテンにして言う。
こうだこう!覚えとけ!いいか。
そう。 ミミの言う通りだユキオ。
スリーコードのキモんとこだけ覚えりゃいい。あとはイキフン。
百回も聴きゃあ、音もイキフンも少しゃあ分かるべ。
テープ吹き込んで1日中聴け。
シーメん時も休憩ん時も風呂ん中でもよ。
ボーヤがナオンなんか遊んでるヒマねえぞ。
はい、わかりましたよ...。
ついでにお前さ、メンバーで演んの初めてだろ。
今度はトラじゃねえからな。
皆と同じように煽る時きゃ煽る落とす時きゃ落とす、
一人だけ浮くなよ。 対バンにすぐバレんぞボーヤだって。
ああ・・はい。
ドンバはな、キーだけ言えばすぐ演れるようになんなきゃ、
ステージじゃ使えねえぞ。
そんでつまんねえアドリブはダメ。和音ほぐしただけの
ピロピロの時間つぶしじゃ、演んねえほうがましだ。
行き方なんか俺のベース聴いて俺の手元よく見てろ。
ズージャ屋は百曲メモってからステージあがるってよ。
千曲で一人前だ。お前も百位メモれ、根性でやれよ、なっ。
そう。 ユキオもこれからドンバでやってくんだろ?
まあ今のうちに経験しろよ、色んなさ。
でもズラトンだけはすんなよ。とことん追っかけっかんな。
はい、わかりやした。
じゃちょっとやるか、ユキオのためによ。うっひっひ。
コタツ囲んでカラで演りながら、曲さらって3日分の
メニュー決めて、終わったらもう夜中1時過ぎだ。
さぁローフだ、俺先に入んぞ~。
次俺な。 一人づつしか入れねえだろ。
ユキオ、お前もローフ入れよ。
あ、はいすいません。
あ~あ 寝むてぇ。
かくして皆、仮死状態でおやすみとなった。ウヒヒ。