そしてキミは花になる
プルルルル
プルルルル…
着信 緒方蓮先生
ディスプレイに表示される先生の名前を見ながら、何も考えずに通話ボタンを押した。
「もしもし?」
先生は、悪くなかった。
…でも。
それでも、じゃあなんで約束を先伸ばしにしようって言ったのかな?
考える事は、全て悪い方向に向かっていってしまう。
こんなわたしが嫌になる。
『神田?…やっと出た。何かあったの?』
心配してくれてるのが口調から伝わる。
でも、やっぱりわたしは素直になれなくて。
「それはこっちの台詞ですよ!わたしがメールしても返してくれなかったくせに!」
腹が立っていたのと不安がなくならないのとで頭がぐちゃぐちゃになっていた。
『ごめん…』
何を言われても多分、今のわたしは止まらなかった。
「“ごめん”じゃ分かりません!しかもなんで約束先伸ばしなんですか!?学校では、冷たいし!わたし!愛されてる自信が持てません!」
ハァハァと息をきらしながら必死で叫んでいた。
手には、たくさんの汗と少し滲んだ紅い血。