そしてキミは花になる
「神田。神田愁芭いるか?」
わたしの耳に届いたのは、小早川先生の声だった。
少し…。
ほんの少しだけ期待してたんだけどな…。
「ほらっ!愁芭。呼ばれてるよ?」
ぼーっとしていたわたしにちはるが声をかけてくれた。
ちはるは、好きな人の声がすぐに分かっちゃうんだ。
…愛を感じるな。
ってわたし寒い!
「うん!ちょっと行ってくるね?」
ちはるにそう告げると小早川先生のもとへ走った。
「はい」
「お~神田。放課後、資料整理手伝ってほしいから数学準備室に来てって緒方先生から伝言だ」
は…?
なんでわたしなの?
今、一番気まずくて一番会いたくないのに。
「小早川先生が手伝えばいいじゃないですか!!」
なんで同じ数学の“先生”に頼まないの!?
「うおっ!こえーなぁ?この間は、快く引き受けてくれたのによ?
俺は、用事あんだよ。だから頼むよ~」