追憶乃記憶

 しかし、自らで精霊と対話する以外にも、才能を持っていることが分かる瞬間がいくつかある。

 一つは、生命の危険に瀕した時。
 死神や悪魔に襲われ、身らの生命の危機に瀕した際に、無意識のうちに能力を自身の限界まで発動させ、パートナーたる「守護精霊」を強制的に自身の元に召喚させた場合に覚醒する。

 また一つは、他の巫女に潜在的能力を見抜かれた場合。
 だがこれはごく稀で、巫女と異能者同士、互いが余程強い才能を持っている場合に限られる。

 最後は、悪魔に襲われた場合。
 悪魔は基本的に強い力があることを誇示しており、更なる力を求める為にヒトを襲う。
 ヒトの持つ負の感情、憎悪や嫉妬なども彼らの力の足しにはなるが、急激なランクアップを求める悪魔などは特に、「巫女の純潔」を求める。
 巫女の純潔は、何よりも悪魔の力を増大させるからだ。

 だからこそ、巫女と悪魔は常に対立している。
 それが当然で、宿命である。

 私は、私から唯一大切なモノを奪った彼らを許さない。

 ユウレイカはその後、普通の人として生涯を終えたそうだが、行方や足取り、消息も詳細も不明だ。

 だが確かに、彼女の名は消えていない。
 きっと未来も、彼女の名は誰かに受け継がれているのだろう。
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