天使のアリア––翼の記憶––
大きな正面玄関に入ると、中には大勢の人がいた。小さな子供からご老人まで様々だった。
この病院は県内でもかなり大きな複合病院。内科に外科、耳鼻科に眼科、小児科に婦人科、精神科など、様々な科があり、大勢のお医者さん、看護師さんが働いていらっしゃる。
けれど、こんなに人が沢山いるとは思わなかったかも。
少し圧倒されながらもフロントにいる看護師さん達に挨拶をすると、取り次いでくれた看護師さんは、
「あ、貴方があの星宮藍羅さん!?い、今、担当の者をお呼びします!」
と、慌てて奥に行ってしまった。
椅子を借りて座ってまっていよう、と藍羅先輩が提案すると、
「あ、あの!」
フロントにいた、別の看護婦さんが話しかけて来た。
「あ、あの、私星宮さんのファンなんです!握手していただけませんか…!」
「あ、私も!」
なんて結局その場にいた全ての看護婦さんが登場して、即席握手会が始まってしまった。
先輩も断ろうとしたのだけれど、その熱烈なラブコールに圧倒され、握手をされるがままの状態になってしまった。
看護婦さん達お仕事中なのにいいのかな、先輩は大丈夫かなと心配しつつ藍羅先輩をチラリと見ると、看護婦さん達の間から見えた先輩の顔は完全なる営業スマイルだった。
もう本当の笑顔と見分けがつかないまでの作り笑顔だった。仮面を作り上げている。それでも若干引きつっているのが分かるのは私だけだと思われる。誰か気づいてあげてほしい。
「こらこら、君達仕事中だろう?」
落ち着いた男性の声が聞こえて顔を向けると、
「星宮さんをあまり困らせないでくれ」
眼鏡をかけた、白衣の男性だった。30代くらいの若くてルックスのいい人。モテそう。
「さ、斎藤先生…!」
看護婦さんの一人がハッと藍羅先輩から手を離して声をあげた。
「うちの者がどうもすいません。ご迷惑をおかけしました」
そして一歩前に進む。
その度に看護婦さん達は左右に分かれ、藍羅先輩は解放された。
藍羅先輩への道を一歩一歩進むお医者さん。
そして藍羅先輩の前に辿り着くと先輩の手を取った。
その瞬間巻き上がる黄色い歓声。どこから声を出しているのだろうー。
「始めまして、星宮さん。僕が星宮さんのコンサートの担当をいたします、斎藤です」
彼はニコッと微笑んだ。
この病院は県内でもかなり大きな複合病院。内科に外科、耳鼻科に眼科、小児科に婦人科、精神科など、様々な科があり、大勢のお医者さん、看護師さんが働いていらっしゃる。
けれど、こんなに人が沢山いるとは思わなかったかも。
少し圧倒されながらもフロントにいる看護師さん達に挨拶をすると、取り次いでくれた看護師さんは、
「あ、貴方があの星宮藍羅さん!?い、今、担当の者をお呼びします!」
と、慌てて奥に行ってしまった。
椅子を借りて座ってまっていよう、と藍羅先輩が提案すると、
「あ、あの!」
フロントにいた、別の看護婦さんが話しかけて来た。
「あ、あの、私星宮さんのファンなんです!握手していただけませんか…!」
「あ、私も!」
なんて結局その場にいた全ての看護婦さんが登場して、即席握手会が始まってしまった。
先輩も断ろうとしたのだけれど、その熱烈なラブコールに圧倒され、握手をされるがままの状態になってしまった。
看護婦さん達お仕事中なのにいいのかな、先輩は大丈夫かなと心配しつつ藍羅先輩をチラリと見ると、看護婦さん達の間から見えた先輩の顔は完全なる営業スマイルだった。
もう本当の笑顔と見分けがつかないまでの作り笑顔だった。仮面を作り上げている。それでも若干引きつっているのが分かるのは私だけだと思われる。誰か気づいてあげてほしい。
「こらこら、君達仕事中だろう?」
落ち着いた男性の声が聞こえて顔を向けると、
「星宮さんをあまり困らせないでくれ」
眼鏡をかけた、白衣の男性だった。30代くらいの若くてルックスのいい人。モテそう。
「さ、斎藤先生…!」
看護婦さんの一人がハッと藍羅先輩から手を離して声をあげた。
「うちの者がどうもすいません。ご迷惑をおかけしました」
そして一歩前に進む。
その度に看護婦さん達は左右に分かれ、藍羅先輩は解放された。
藍羅先輩への道を一歩一歩進むお医者さん。
そして藍羅先輩の前に辿り着くと先輩の手を取った。
その瞬間巻き上がる黄色い歓声。どこから声を出しているのだろうー。
「始めまして、星宮さん。僕が星宮さんのコンサートの担当をいたします、斎藤です」
彼はニコッと微笑んだ。