天使のアリア––翼の記憶––
そして、そのまま先輩の手の甲に口付けをした。
まるで永遠の愛を、忠誠を誓うように。
そのせいでまた黄色い悲鳴が飛び交う。
か、看護婦の皆様、あの、ここ、病院内なんですけど…!
静かにしなくちゃいけないのではんしでしょうか!?
ていうか、今、先輩に、先輩の手の甲にキ、キ、キスを!?
先輩の方を見ると、
「じゃあ、早速本題に」
先輩は意外なことに動揺も何一つしていなかった。顔色一つ変わっていない。
てっきり先輩は顔を真っ赤にしてショートするかと思った。それなのに、デューク先輩といる時より余程落ち着いて見える。
年の差があるだろうに、少しお似合いに見えてしまうから不思議だ。二人とも美形だからだろうか。
何か言いたそうにしている看護婦さんも、藍羅先輩を前にすると何も言えなくなるらしい。その美しさの前には誰も敵わないのだ。
「そうですね。あ、華原さん!宜しくお願いいたします」
今更ですか。
そりゃ、先輩と並べば月とスッポン、否、太陽と石ころみたいなものだけどさ!別に気にしてなんかいないけどさ!
「…こちらこそ」
色んな思いを噛み殺してお辞儀を返した。
そんな私のことには一切気づかず、
「では、会議室の方へ行きましょうか」
斎藤というお医者さんは、そのまま藍羅先輩の手を取り、私達を案内してくれた。
この斎藤というお医者さん…完全に藍羅先輩に惚れたな。それも一目惚れなんだろうな。
でも今、先輩は–––…
「ここです」
斎藤というお医者さんはドアを開けた。
そこは至って普通の会議室で、会議用のテーブルの上には資料の束が三つ固めて置いてあった。
きっとコンサートの概要か何かだろうと察しがつく。
白を基調とした無機質の空間に、病院のお庭にも咲いていた淡いピンクの花が花瓶に飾られていた。
「おかけください」
斎藤というお医者さんと机を挟んで私と藍羅先輩が座ることになった。
席に着くや否や、
「先程は飛んだ無礼な真似をしまして、申し訳ありませんでした」
頭を下げて謝られた。
まるで永遠の愛を、忠誠を誓うように。
そのせいでまた黄色い悲鳴が飛び交う。
か、看護婦の皆様、あの、ここ、病院内なんですけど…!
静かにしなくちゃいけないのではんしでしょうか!?
ていうか、今、先輩に、先輩の手の甲にキ、キ、キスを!?
先輩の方を見ると、
「じゃあ、早速本題に」
先輩は意外なことに動揺も何一つしていなかった。顔色一つ変わっていない。
てっきり先輩は顔を真っ赤にしてショートするかと思った。それなのに、デューク先輩といる時より余程落ち着いて見える。
年の差があるだろうに、少しお似合いに見えてしまうから不思議だ。二人とも美形だからだろうか。
何か言いたそうにしている看護婦さんも、藍羅先輩を前にすると何も言えなくなるらしい。その美しさの前には誰も敵わないのだ。
「そうですね。あ、華原さん!宜しくお願いいたします」
今更ですか。
そりゃ、先輩と並べば月とスッポン、否、太陽と石ころみたいなものだけどさ!別に気にしてなんかいないけどさ!
「…こちらこそ」
色んな思いを噛み殺してお辞儀を返した。
そんな私のことには一切気づかず、
「では、会議室の方へ行きましょうか」
斎藤というお医者さんは、そのまま藍羅先輩の手を取り、私達を案内してくれた。
この斎藤というお医者さん…完全に藍羅先輩に惚れたな。それも一目惚れなんだろうな。
でも今、先輩は–––…
「ここです」
斎藤というお医者さんはドアを開けた。
そこは至って普通の会議室で、会議用のテーブルの上には資料の束が三つ固めて置いてあった。
きっとコンサートの概要か何かだろうと察しがつく。
白を基調とした無機質の空間に、病院のお庭にも咲いていた淡いピンクの花が花瓶に飾られていた。
「おかけください」
斎藤というお医者さんと机を挟んで私と藍羅先輩が座ることになった。
席に着くや否や、
「先程は飛んだ無礼な真似をしまして、申し訳ありませんでした」
頭を下げて謝られた。