天使のアリア––翼の記憶––
「けれど、どんな理由があっても、星宮さんと華原さんを傷つけたことに変わりはない。申し訳ありませんでした」
頭を下げる斎藤先生に、藍羅先輩が声をかけた。
「理由が理由だし、いいんじゃないか?
別にあたしは傷ついていないし、月子も多分そうだろう。だからそんなに思い詰めなくていい。顔をあげてくれ」
結婚式がうまくいくといいな、と笑った先輩はもう天使、否、女神にしか見えなかった。
「ありがとうございます」
斎藤先生は照れたように、救われたように笑った。その顔はなんとも晴れ晴れしかった。
そしてそこから素早く仕事に切り替え、みっちり打ち合わせをした。
事細かに。細かすぎというくらいに細かく。
凄く真面目な人なんだなと思った。
「大体こんな感じです。何か気になることなどありますか?」
そう言われるけれど、あれだけ事細かに説明されればもう気になることなどどこにもない。
藍羅先輩と二人、フルフルと横に首を振った。
「そうですか。また気になることなどありましたら、いつでも聞いてくださいね」
そう微笑まれて、打ち合わせは終了した。
「ロビーまで送ります」
斎藤先生はどこまでも優しい人だ。
しかしその斎藤先生はというと眉を下げて辛そうな顔をしていた。
「すいませんが、人目のあるところでは、僕が星宮さんに惚れている、という設定でいきます。本当にすいません…」
申し訳なさそうな顔をしている。
それは藍羅先輩と私のためか、婚約者さんのためか、否、両方だろう。
「大事な婚約者を守るためだ。気にすることはない」
「私も大丈夫ですよ」
すいません、と斎藤先生はもう一度謝ると扉に手をかけた。
「いきます」
一つ深呼吸をすると、その重厚な扉を開けた。
その瞬間。
「「「「キャアアア!!」」」」
数えきれないほど多くの看護師さんがいた。
聞き耳立てていたのかな…?
頭を下げる斎藤先生に、藍羅先輩が声をかけた。
「理由が理由だし、いいんじゃないか?
別にあたしは傷ついていないし、月子も多分そうだろう。だからそんなに思い詰めなくていい。顔をあげてくれ」
結婚式がうまくいくといいな、と笑った先輩はもう天使、否、女神にしか見えなかった。
「ありがとうございます」
斎藤先生は照れたように、救われたように笑った。その顔はなんとも晴れ晴れしかった。
そしてそこから素早く仕事に切り替え、みっちり打ち合わせをした。
事細かに。細かすぎというくらいに細かく。
凄く真面目な人なんだなと思った。
「大体こんな感じです。何か気になることなどありますか?」
そう言われるけれど、あれだけ事細かに説明されればもう気になることなどどこにもない。
藍羅先輩と二人、フルフルと横に首を振った。
「そうですか。また気になることなどありましたら、いつでも聞いてくださいね」
そう微笑まれて、打ち合わせは終了した。
「ロビーまで送ります」
斎藤先生はどこまでも優しい人だ。
しかしその斎藤先生はというと眉を下げて辛そうな顔をしていた。
「すいませんが、人目のあるところでは、僕が星宮さんに惚れている、という設定でいきます。本当にすいません…」
申し訳なさそうな顔をしている。
それは藍羅先輩と私のためか、婚約者さんのためか、否、両方だろう。
「大事な婚約者を守るためだ。気にすることはない」
「私も大丈夫ですよ」
すいません、と斎藤先生はもう一度謝ると扉に手をかけた。
「いきます」
一つ深呼吸をすると、その重厚な扉を開けた。
その瞬間。
「「「「キャアアア!!」」」」
数えきれないほど多くの看護師さんがいた。
聞き耳立てていたのかな…?