天使のアリア––翼の記憶––
06 発見
夢を見ればいつも現れる白い空間に、
"……月子……"
遠くで聞こえる、あの声。
いつも夢で聞こえる、あの声。
なぜだか泣きたくなるほど懐かしく感じる。
"……月子……"
誰、だっけ…
"…お願い…歌姫を…"
歌姫…私はそれが誰なのかを知らない。
貴女は知っているの?
"…えぇ…"
それは一体誰?
"…貴女のそばにいるわ…"
その声を聞いた瞬間、蘇った。
幼かった私の、大事なもの。
なくしていたわけではないけど、忙しい日々の中で忘れていた、大切な記憶。
『どれだけ離れていても、いつも貴女のそばにいるわ』
母との思い出。
幼い私にはその言葉の意味は分からなかったけれど、今なら分かる。
私もそう思うよ、お母さん。
貴女はいつも私のそばにいる。
私の心のいちばん深いところで、いつも貴女の存在を感じている。
って、あ…
もしかして、
もしかして、この声の持ち主は、
貴女なのですか?
「お母さん…」