天使のアリア––翼の記憶––
「じゃあ、一体何のために来るの?」
私の問いにウサギは落ち着きを取り戻して答えた。
「乙葉と俺で見に行って、藍羅先輩がその歌姫かどうか見極める」
私は、何言ってるの、とその意見に反論した。
「どうやって判断するのよ、相手はステージ上にいる、あの藍羅先輩なのに」
できるわけがないじゃない、と私が言うとウサギはニヤリと笑った。
不敵な笑みってやつ。
「んなもん、俺らなら分かるんだっつの、バカ月子。
歌姫っていっても天使だ。天使は人間じゃねぇだろ? 人間かどうか見分けることくらい、俺達にしたら朝飯前だ」
本当に乙葉とウサギならできそうなので怖い。
人間とそうでなうものを見分けられる力を持っているなんて、最早人間かどうかも怪しい。
「失礼だな、バカ月子!」
ウサギの額にピキリと怒りマークがついたような気がしたが私は気にしない。
「…次の本番は今週の土曜日。駅前のコンサートホールの大ホール。開場は午後1時30分から、開演は午後2時から」
私はそんなウサギを見ながら告げた。気が付けば、告げていた。
あの夢でいつのも聞く声が、母の、月読様の声だとするならば、彼女の見た未来が間違いのはずがない。間違えるはずがないのだ。
「ウサギ、お願いがある」
早く歌姫を見つけて天界へかえさなければ、本当に争いが起こる。
そんな危険なことに、彼らを、大事な幼馴染達を、巻き込むわけにはいかない。
竹取会なんて危ない輩も歌姫を手に入れようとしている。きっと、これから先、そいつらと戦わなければならなくなるのだと思う。
私はそんなことでウサギ達を失いたくない。失うのが怖いのだ。
そのためにも、一刻も早く歌姫を見つけ出して、天界へとかえさなければならない。
「歌姫を見つけるのを手伝ってほしい」
矛盾していることは、自分でも分かっている。
お願いがある、なんて、見つけるのを手伝ってほしい、なんて、断りづらい言葉で、彼らを危ないことに巻き込んでいる。私が、積極的に。
でも、それでも、母の–––月読様の予言を現実のものにするわけにはいかない。
絶対に、竹取会より早く天使を見つけて還さなければならない。
月読様の予言にあった、"争い"を避けるために。
私の問いにウサギは落ち着きを取り戻して答えた。
「乙葉と俺で見に行って、藍羅先輩がその歌姫かどうか見極める」
私は、何言ってるの、とその意見に反論した。
「どうやって判断するのよ、相手はステージ上にいる、あの藍羅先輩なのに」
できるわけがないじゃない、と私が言うとウサギはニヤリと笑った。
不敵な笑みってやつ。
「んなもん、俺らなら分かるんだっつの、バカ月子。
歌姫っていっても天使だ。天使は人間じゃねぇだろ? 人間かどうか見分けることくらい、俺達にしたら朝飯前だ」
本当に乙葉とウサギならできそうなので怖い。
人間とそうでなうものを見分けられる力を持っているなんて、最早人間かどうかも怪しい。
「失礼だな、バカ月子!」
ウサギの額にピキリと怒りマークがついたような気がしたが私は気にしない。
「…次の本番は今週の土曜日。駅前のコンサートホールの大ホール。開場は午後1時30分から、開演は午後2時から」
私はそんなウサギを見ながら告げた。気が付けば、告げていた。
あの夢でいつのも聞く声が、母の、月読様の声だとするならば、彼女の見た未来が間違いのはずがない。間違えるはずがないのだ。
「ウサギ、お願いがある」
早く歌姫を見つけて天界へかえさなければ、本当に争いが起こる。
そんな危険なことに、彼らを、大事な幼馴染達を、巻き込むわけにはいかない。
竹取会なんて危ない輩も歌姫を手に入れようとしている。きっと、これから先、そいつらと戦わなければならなくなるのだと思う。
私はそんなことでウサギ達を失いたくない。失うのが怖いのだ。
そのためにも、一刻も早く歌姫を見つけ出して、天界へとかえさなければならない。
「歌姫を見つけるのを手伝ってほしい」
矛盾していることは、自分でも分かっている。
お願いがある、なんて、見つけるのを手伝ってほしい、なんて、断りづらい言葉で、彼らを危ないことに巻き込んでいる。私が、積極的に。
でも、それでも、母の–––月読様の予言を現実のものにするわけにはいかない。
絶対に、竹取会より早く天使を見つけて還さなければならない。
月読様の予言にあった、"争い"を避けるために。