天使のアリア––翼の記憶––
*
「あの先生…!」
放課後になって、私は英語の先生から呼び出されて職員室に向かった。
そこで渡されたのはプリント。
しかも返却しておいて、と言われた。
「私は英語係じゃないのに!」
英語係はウサギで、私はれっきとした古典係だ。
ほんと理不尽極まりない。
まぁ、帰宅部である私は、運動部であるウサギと違って放課後が忙しいわけではないので、先生がウサギじゃなくて私を指名したのも分からなくはないんだけど。
最近、運動部は近々あるイベントのために忙しい。無論、ウサギが所属するバスケ部も例外ではないのだ。
そのイベントを思うと、生粋の文化部である私は溜息を吐いてしまう。
文化部であるが運動のできるタイプの乙葉はすごく楽しそうにしていたけれど。
乙葉とウサギは、本当に嬉しそうに、楽しそうに、そのイベントの話をしていた。
ふたりの笑顔を思い出すと、あの笑顔を見れてとても嬉しいけれど、少しだけ胸が痛いという変な感情が私を支配する。
最近、こんな感情と遭遇することが多い。
どうしてなのか分からないけれど、でも、分かりたくないとも思っている。
どうしてなのか分かってしまうことが、怖い。
なぜか分からないけれど、漠然とした恐怖が襲ってくるのだ。
どうして、私はこんな感情を抱いてしまうのだろう。
本当に、自分を見失ってしまいそうだ。
「はぁ…」
溜息を吐いて、また歩き出す。
一歩一歩歩く度に、そんな感情など忘れてしまえるように。
食堂前の広場に差し掛かったところで私は思わぬ人物と遭遇した。
「あら、月子ちゃん」
「え、七星先輩と北斗先輩?」
どうしてこんなところに、と聞くと、先輩は笑った。
「何となく、月子ちゃんに会えるかなって思ったの」
ふふ、と笑ったその瞳の奥にどんなことを考えているんだか想像もつかない。
「私に何か用事でもあったんですか?」
「用事、特にない」
きっぱりと北斗先輩は言った。
ここまできっぱり言われると逆に清々しいものだ。
「でも、気になることはあるわ」
そう言って七星先輩は腕を組んで微笑んだ。何て威圧的な微笑みだろう。
不敵な笑みってこういうものなんだと何だか納得してしまった。
「あの先生…!」
放課後になって、私は英語の先生から呼び出されて職員室に向かった。
そこで渡されたのはプリント。
しかも返却しておいて、と言われた。
「私は英語係じゃないのに!」
英語係はウサギで、私はれっきとした古典係だ。
ほんと理不尽極まりない。
まぁ、帰宅部である私は、運動部であるウサギと違って放課後が忙しいわけではないので、先生がウサギじゃなくて私を指名したのも分からなくはないんだけど。
最近、運動部は近々あるイベントのために忙しい。無論、ウサギが所属するバスケ部も例外ではないのだ。
そのイベントを思うと、生粋の文化部である私は溜息を吐いてしまう。
文化部であるが運動のできるタイプの乙葉はすごく楽しそうにしていたけれど。
乙葉とウサギは、本当に嬉しそうに、楽しそうに、そのイベントの話をしていた。
ふたりの笑顔を思い出すと、あの笑顔を見れてとても嬉しいけれど、少しだけ胸が痛いという変な感情が私を支配する。
最近、こんな感情と遭遇することが多い。
どうしてなのか分からないけれど、でも、分かりたくないとも思っている。
どうしてなのか分かってしまうことが、怖い。
なぜか分からないけれど、漠然とした恐怖が襲ってくるのだ。
どうして、私はこんな感情を抱いてしまうのだろう。
本当に、自分を見失ってしまいそうだ。
「はぁ…」
溜息を吐いて、また歩き出す。
一歩一歩歩く度に、そんな感情など忘れてしまえるように。
食堂前の広場に差し掛かったところで私は思わぬ人物と遭遇した。
「あら、月子ちゃん」
「え、七星先輩と北斗先輩?」
どうしてこんなところに、と聞くと、先輩は笑った。
「何となく、月子ちゃんに会えるかなって思ったの」
ふふ、と笑ったその瞳の奥にどんなことを考えているんだか想像もつかない。
「私に何か用事でもあったんですか?」
「用事、特にない」
きっぱりと北斗先輩は言った。
ここまできっぱり言われると逆に清々しいものだ。
「でも、気になることはあるわ」
そう言って七星先輩は腕を組んで微笑んだ。何て威圧的な微笑みだろう。
不敵な笑みってこういうものなんだと何だか納得してしまった。