天使のアリア––翼の記憶––
ウサギは私を目に留めると、すぐに七星先輩に言った。
「…念のために聞きますが、この馬鹿に変なことを吹き込んだりしてませんよね?」
「この馬鹿…って、私のこと!?」
なんて失礼なやつだとウサギヤローを睨みつけた。
「お前意外に誰がいるんだよ。っていうか、馬鹿で反応してるんだから、お前だって自分が馬鹿だと認めてんじゃねぇか」
た、確かにその通りで反論できない…!
でもむかつくから、せめてもの反抗にと睨みつけるのだが、奴はわれ関せぬと七星先輩の方を見ている。まったく、憎たらしいったらない。
「あら、変なことって何かしら?」
七星先輩はにやりと笑って首を傾げるポーズをする。
「…分かっているのに聞くのはやめてくださいよ」
ウサギはムスッと言い返したが、七星先輩は声をあげて笑った。
「あはは、冗談よ、冗談。大丈夫、心配いらないわ。まだ何も言ってないもの」
「…言おうと、してたけど」
ぼそりと呟いた北斗先輩の言葉にウサギは少し目を見張ったようだったが、乙葉が、そうでしたかー、と安堵の声をもらした。
「じゃあー、セーフでしたねー」
「…そういう問題か?」
珍しくウサギが乙葉につっこんだ。
「で、皆さん何の話をしているんですか?」
私が言葉を発した瞬間、音が消えた。
「いい加減私を仲間外れにするのはやめてくださいよ。何の話なんですか? 皆さん私に何を秘密にしてるんですか?」
けれどウサギも乙葉も北斗先輩も、何も言おうとしなかった。
「それは…」
ウサギが下を向いて口ごもっている。
言いたいことがあるならはっきり言ってほしい。
気になるし、私だけ仲間外れなんて、ちょっと、ううん、かなりイラっとしてしまう。
じーっと見つめるものの、ウサギは一向にこちらを向こうとはしない。むかつくやつだ。バカウサギヤロー!
「そういえば月子ちゃんってどこまで知っているの?」
七星先輩がいきなりそんなことを言った。
「え?」
「竹取会のことに決まってるじゃない」
七星先輩はふうっと溜息を吐いた。
「え…っと…」
視線を上に逸らす。
私、竹取会について、何を知っているっけ?
「えっと……武力を欲しがっている、すっごく危険な組織ってことは知ってま、す…」
七星先輩の真っ直ぐな紅の瞳が恐ろしくて、語尾が消えてなくなりそうだった。否、半分くらいは消えていた。子音しか残っていなかったかもしれない。
「…念のために聞きますが、この馬鹿に変なことを吹き込んだりしてませんよね?」
「この馬鹿…って、私のこと!?」
なんて失礼なやつだとウサギヤローを睨みつけた。
「お前意外に誰がいるんだよ。っていうか、馬鹿で反応してるんだから、お前だって自分が馬鹿だと認めてんじゃねぇか」
た、確かにその通りで反論できない…!
でもむかつくから、せめてもの反抗にと睨みつけるのだが、奴はわれ関せぬと七星先輩の方を見ている。まったく、憎たらしいったらない。
「あら、変なことって何かしら?」
七星先輩はにやりと笑って首を傾げるポーズをする。
「…分かっているのに聞くのはやめてくださいよ」
ウサギはムスッと言い返したが、七星先輩は声をあげて笑った。
「あはは、冗談よ、冗談。大丈夫、心配いらないわ。まだ何も言ってないもの」
「…言おうと、してたけど」
ぼそりと呟いた北斗先輩の言葉にウサギは少し目を見張ったようだったが、乙葉が、そうでしたかー、と安堵の声をもらした。
「じゃあー、セーフでしたねー」
「…そういう問題か?」
珍しくウサギが乙葉につっこんだ。
「で、皆さん何の話をしているんですか?」
私が言葉を発した瞬間、音が消えた。
「いい加減私を仲間外れにするのはやめてくださいよ。何の話なんですか? 皆さん私に何を秘密にしてるんですか?」
けれどウサギも乙葉も北斗先輩も、何も言おうとしなかった。
「それは…」
ウサギが下を向いて口ごもっている。
言いたいことがあるならはっきり言ってほしい。
気になるし、私だけ仲間外れなんて、ちょっと、ううん、かなりイラっとしてしまう。
じーっと見つめるものの、ウサギは一向にこちらを向こうとはしない。むかつくやつだ。バカウサギヤロー!
「そういえば月子ちゃんってどこまで知っているの?」
七星先輩がいきなりそんなことを言った。
「え?」
「竹取会のことに決まってるじゃない」
七星先輩はふうっと溜息を吐いた。
「え…っと…」
視線を上に逸らす。
私、竹取会について、何を知っているっけ?
「えっと……武力を欲しがっている、すっごく危険な組織ってことは知ってま、す…」
七星先輩の真っ直ぐな紅の瞳が恐ろしくて、語尾が消えてなくなりそうだった。否、半分くらいは消えていた。子音しか残っていなかったかもしれない。