天使のアリア––翼の記憶––
一緒。
それってつまり、届かない相手に恋をしているということ?
「…先輩は、選んだんですか?」
私の言葉に、先輩は黙って頷いた。
「…僕は、好きでいることにした」
ぽつりと呟いた。
「先輩の好きな人って、どんな人なんですか?」
私が尋ねると先輩は少し考え込むような格好をした。
「…どんな人…」
しばらくして再び私の方を向くと、先輩は無表情のまま言った。
「馬鹿」
「え?」
思ってもいなかった言葉に驚いた私は聞き返した。想像しておたよりも大きな声だった。
好きな人の特徴を聞いて「馬鹿」って回答が出てくるなんて誰が想像しようか。
呆気にとられる私をよそに、先輩は指を折って次々にその人の特徴を言った。
「馬鹿、阿呆、ドジ、マヌケ、鈍感、天然…」
飛んでくる言葉は暴言ばかりだ。
相手を罵ってしかない。
「ま、待ってください、それただの悪口です!」
私の制止の言葉にかぶせるように、だけど、と先輩は言った。
「…すごく、優しい。何に対しても、優しい。
あと、笑顔。すごく…暖かい」
先輩はそう言って目を閉じた。
ひどく優しい顔をしていた。
「…でも、もう、届かない」
先輩は目を開いた。
先輩の顔は穏やかだけど、瞳に切なさを灯していた。
「……結婚、してるから」
私は言葉を失った。
だから、先輩は届かないと言っていたのか。
納得はしたけれど、何も言えなかった。
何を言ったら良いか分からなかった。
「…相手の人、僕の尊敬する人。魔法、勉強、戦い方…色々、教えてくれた。僕の、尊敬する、師匠。僕の、大事な人。だから、師匠は、嫌いになれない。絶対…できない」
あぁ、本当に、私達は一緒だ。
だからこそ、切ない想いが苦しいほど伝わってくる。
それってつまり、届かない相手に恋をしているということ?
「…先輩は、選んだんですか?」
私の言葉に、先輩は黙って頷いた。
「…僕は、好きでいることにした」
ぽつりと呟いた。
「先輩の好きな人って、どんな人なんですか?」
私が尋ねると先輩は少し考え込むような格好をした。
「…どんな人…」
しばらくして再び私の方を向くと、先輩は無表情のまま言った。
「馬鹿」
「え?」
思ってもいなかった言葉に驚いた私は聞き返した。想像しておたよりも大きな声だった。
好きな人の特徴を聞いて「馬鹿」って回答が出てくるなんて誰が想像しようか。
呆気にとられる私をよそに、先輩は指を折って次々にその人の特徴を言った。
「馬鹿、阿呆、ドジ、マヌケ、鈍感、天然…」
飛んでくる言葉は暴言ばかりだ。
相手を罵ってしかない。
「ま、待ってください、それただの悪口です!」
私の制止の言葉にかぶせるように、だけど、と先輩は言った。
「…すごく、優しい。何に対しても、優しい。
あと、笑顔。すごく…暖かい」
先輩はそう言って目を閉じた。
ひどく優しい顔をしていた。
「…でも、もう、届かない」
先輩は目を開いた。
先輩の顔は穏やかだけど、瞳に切なさを灯していた。
「……結婚、してるから」
私は言葉を失った。
だから、先輩は届かないと言っていたのか。
納得はしたけれど、何も言えなかった。
何を言ったら良いか分からなかった。
「…相手の人、僕の尊敬する人。魔法、勉強、戦い方…色々、教えてくれた。僕の、尊敬する、師匠。僕の、大事な人。だから、師匠は、嫌いになれない。絶対…できない」
あぁ、本当に、私達は一緒だ。
だからこそ、切ない想いが苦しいほど伝わってくる。