天使のアリア––翼の記憶––
って、ヤバイ!ボーっとしてたら30分過ぎてたよ!遅刻したら怒られる、と言うか寧ろ殺される!


急いでハンガーに引っ掛けていた制服を着て、愛用のシンプルな黒のロングドレスをシワにならないよう鞄に詰めた。

そして朝食もままならないまま、鞄を持って玄関をでた。

そして、走る。とりあえず走る。

腕時計は集合時間の2分前を指している。ヤバイ。集合時間に遅れたりしたら…想像するだけで背筋が凍る。


あ、自己紹介が遅れました。

私、華原月子と申します。至って普通の高校に通う、至って普通の高校1年生でございます。

特徴というものは特になく、全てにおいて平均、平凡、人並みです。そうです、THE・平凡なんです。

あ、でも人と少し違うところといえば、


「遅い。」

「すいません!」


この星宮藍羅(ほしみや あいら)先輩と仲がいいということくらい。あ、もう一つあるけれど…それは後々説明しますね。


藍羅先輩は、私と同じ高校に通う2年生。尊敬してやまない先輩です。


先輩一言で表すならスーパークールビューティ。常にクール。綺麗でかっこよくて、もうそこら辺の男子なんかもう目じゃない。男子よりもかっこよく、女子よりも可愛い。

学業もとても優秀で常に学年3番以内。

おまけに運動神経だって抜群で、体育祭のリレーなんか男子の陸上部キャプテンともいい勝負だ。


そして、その容姿。モデルかと思うほどすらっと長く細い脚。同じ高校生かと疑った。いうまでもなく整ったお顔からは気品が感じられる。


そして腰のあたりまであるダークブラウンの艶やかな御髪は全校生徒、全教職員のの憧れだ。



麗しい、この単語は彼女のためにある。
< 3 / 351 >

この作品をシェア

pagetop