天使のアリア––翼の記憶––
しかし、先輩の持つ雰囲気をクールというべきか凛としているというべきか、はたまたサバサバしているというべきか迷うところではあるが、これだけは言える。
先輩は他人に興味を持っていない。そうです、興味がないんです。そう思える節は今まで何度もあった。
でもそんなところも硬派で素敵すぎて尊敬してしまうから、一緒にいさせてもらっている。
そんな完璧な先輩だけど、特筆すべきは、その歌声。
天使の歌声と称されるほど素晴らしい歌声を持ってらっしゃるんです。私も初めて聞いたときは、感動のあまり泣いてしまった。今でも感動して泣きそうになる。
もちろんそれは評価されていて、様々なコンクールなどで賞を総ナメにしている。その美貌と麗しい歌声から"孤高の歌姫"なんて呼ばれている。
姫、というより、女神のほうが、藍羅先輩には似合っているような気がするんですけれどね。
て、そんなことより。
「先輩!遅いってまだ1分前じゃないですか!」
自分の腕時計を確認しながら私は言った。私の時計の見方が間違っていない限り、いや、どうやって見てもこれは集合時間の1分前だ。
しかし先輩は相変わらず表情のない顔でこう言った。
「その時計、5分ズレてるぞ。」
先輩はケータイを持っていた。この紋所が目に入らぬか、とでもいうように、ケータイの画面を私に示している。
私は自分の腕時計と見比べる。
「嘘ぉぉお!」
ガーン…ショック…
そんな、この時計が狂ってたとは…それも5分もなんて!5分も遅かったなんて!愛用の腕時計なのに!愛用なのに!ずっと大事にしてきたのに!
先輩は、愛用の腕時計が狂っていたことにショックを受け、打ちひしがれている私を涼やかな目で見ながら、
「時間がない。行くぞ。」
そう言って歩くものだから、
「待ってください!今行きます!」
私は走って追いかけるしかなかった。
先輩は他人に興味を持っていない。そうです、興味がないんです。そう思える節は今まで何度もあった。
でもそんなところも硬派で素敵すぎて尊敬してしまうから、一緒にいさせてもらっている。
そんな完璧な先輩だけど、特筆すべきは、その歌声。
天使の歌声と称されるほど素晴らしい歌声を持ってらっしゃるんです。私も初めて聞いたときは、感動のあまり泣いてしまった。今でも感動して泣きそうになる。
もちろんそれは評価されていて、様々なコンクールなどで賞を総ナメにしている。その美貌と麗しい歌声から"孤高の歌姫"なんて呼ばれている。
姫、というより、女神のほうが、藍羅先輩には似合っているような気がするんですけれどね。
て、そんなことより。
「先輩!遅いってまだ1分前じゃないですか!」
自分の腕時計を確認しながら私は言った。私の時計の見方が間違っていない限り、いや、どうやって見てもこれは集合時間の1分前だ。
しかし先輩は相変わらず表情のない顔でこう言った。
「その時計、5分ズレてるぞ。」
先輩はケータイを持っていた。この紋所が目に入らぬか、とでもいうように、ケータイの画面を私に示している。
私は自分の腕時計と見比べる。
「嘘ぉぉお!」
ガーン…ショック…
そんな、この時計が狂ってたとは…それも5分もなんて!5分も遅かったなんて!愛用の腕時計なのに!愛用なのに!ずっと大事にしてきたのに!
先輩は、愛用の腕時計が狂っていたことにショックを受け、打ちひしがれている私を涼やかな目で見ながら、
「時間がない。行くぞ。」
そう言って歩くものだから、
「待ってください!今行きます!」
私は走って追いかけるしかなかった。