天使のアリア––翼の記憶––
「何だか盛り上がってるねー?」
そんな気の抜けるような声が聞こえたと思ったら、
「「「ぐあぁっ!?」」」
男たちの悲鳴が聞こえた。
スタ、と何かが着地する音が聞こえて目を開けると、
「私を仲間外れにしないでよねー?」
「お、乙葉!?」
目を疑った。しかし、私の視力は2.0。決して見間違いではないのだが、信じられない。
「やっほー月子」
やはり、乙葉だ…間違いない、乙葉だ…
周りを見渡せば男たちが倒れていて、乙葉が刀を片手に手を振っている。
「な、なななな何で乙葉がここに!?っていうか何物騒な物を持ってんの!?」
「えー?何がー?」
口に手を当て頭を少し傾けているその姿がこの上なく可愛すぎるのだけれども、それどころではない。
「いやいや、右手!右手に持ってるそれだよそれ!」
「えー?あ、これー?あー、これはただの日本刀だよー。名前は鏡花(きょうか)ー。切れ味抜群のいい子だよー」
いや、だからそんな、あのパン屋のメロンパンが美味しいのー、みたいなノリで言わないで!?
「いや、分かるよ、刀だって見れば分かるよ!なんでそんな物騒な物を乙葉が持ってんの!?っていうか男達は何で倒れてるのさ!?」
混乱状態が続く私の頭。理解できないことばかりだ。もっと賢くなれば違うのかもしれないけれど。
「んー?月子だってケータイ持ってるでしょー?それと一緒だよー。それでねー、この人達が倒れてるのはー」
「乙葉が倒したんだろ?」
「そういうことー」
なんで二人で分かり合っちゃってるのさ!?
大体、日本刀を所持しているとケータイを持ってるのは違うからね!?法律とか色々と関わってくるんだからね!?