天使のアリア––翼の記憶––
03 衝撃
白っぽい空間に響く歌声。
この歌…あぁ、どこか懐かしい…
この世の物とは思えない、余りに美しすぎる歌声に、全てのものが浄化されていくような気さえする。
歌声の発生源を探ると、これまた美しく可憐な女の子が、瞳を閉じて歌っていた。
白いワンピースに、腰まであるダークブラウンの艶やかな髪。言うまでもなく、顔も整っている。彼女を構成する全てが美しい。
それだけではない。彼女の背中から翼が生えていた。けれど、純白、ではない。薄っすらと金色の、神々しい翼だ。
その美しさに思わず目を奪われる。
スッと女の子は歌うことをやめてこちらを見据えた。凛とした真っ直ぐな瞳だ。
こちら、という言葉は間違いだ。もっと別の方向を見ているらしい。
『俺は俺の願いを叶えるために君を殺す』
声が聞こえて振り返ると男の子が立っていた。顔立ちは可愛らしくも爽やかだ。しかし、背中から生える翼は、黒い。
女の子はどうやらこの男の子のことを見ていたらしい。
『…どうして?』
か細い女の子の声とは対象的に、男の子は黒い弓矢を力強く構えている。矢の矛先は、無表情ながらも戸惑いを隠せないでいる女の子だった。
『…どうしても、だよ』
苦しそうな顔をしているのは、二人ともだった。
男の子は何かを決めたのか、弓を握る手に力を入れ、弓矢を引っ張る。
『…バイバイ、俺の愛しい人』
放たれた黒き弓矢が射抜いたのは、女の子の心臓だった。
この歌…あぁ、どこか懐かしい…
この世の物とは思えない、余りに美しすぎる歌声に、全てのものが浄化されていくような気さえする。
歌声の発生源を探ると、これまた美しく可憐な女の子が、瞳を閉じて歌っていた。
白いワンピースに、腰まであるダークブラウンの艶やかな髪。言うまでもなく、顔も整っている。彼女を構成する全てが美しい。
それだけではない。彼女の背中から翼が生えていた。けれど、純白、ではない。薄っすらと金色の、神々しい翼だ。
その美しさに思わず目を奪われる。
スッと女の子は歌うことをやめてこちらを見据えた。凛とした真っ直ぐな瞳だ。
こちら、という言葉は間違いだ。もっと別の方向を見ているらしい。
『俺は俺の願いを叶えるために君を殺す』
声が聞こえて振り返ると男の子が立っていた。顔立ちは可愛らしくも爽やかだ。しかし、背中から生える翼は、黒い。
女の子はどうやらこの男の子のことを見ていたらしい。
『…どうして?』
か細い女の子の声とは対象的に、男の子は黒い弓矢を力強く構えている。矢の矛先は、無表情ながらも戸惑いを隠せないでいる女の子だった。
『…どうしても、だよ』
苦しそうな顔をしているのは、二人ともだった。
男の子は何かを決めたのか、弓を握る手に力を入れ、弓矢を引っ張る。
『…バイバイ、俺の愛しい人』
放たれた黒き弓矢が射抜いたのは、女の子の心臓だった。