隠れ俺様は壁ドンで愛を囁く
「止めてください…っ」

これ以上はもたないよ。

なのに、

「無理」

先輩はそれを即答で返してくる。

「今…」

あぁ、ほんとに

「好きな子のこと、落とせそうなんだもん」

私はこの人にはかなわないんだ。

妖艶な笑みに言葉がでない。

ただ、先輩の口からでた“好き”の二文字が頭をぐるぐると渦巻いて。

先輩が、私を

──好き…?





「覚えてる?初めて顔合わせたときのこと」

それは、たった数日前。

「俺さぁ、こんな性格だからさ」

うん、結構な俺様だよね。意外と。

「モテてたんだよね」

ほうほう。

……ん?

「いやー、変だよね。
強引なくらいがモテちゃうって。
でもさ、そんなんじゃあ、つまんないじゃん?
だから猫被ってたの」

いやいやいや…おかしくないですか?

そう思う私をほっといて、先輩は言葉を並べていく。
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