隠れ俺様は壁ドンで愛を囁く
「したら今度は、本性見せたら恐がられるんだよ。
女子って夢見すぎだよな。
勝手に紳士な俺を、王子様だとかって思い込んで、“理想の王子様像”を作り上げていくの。
そしたら今度は戻れなくなったんだよ」

…それって自業自得なんじゃ?

そう口が滑りそうになったのをなんとか堪える。

今言ったら絶対死ぬ。

「俺さ、わかんなくなったんだよ。
どれがホントの俺で、俺はどうしなくちゃならねぇのか…」

少し眉を下げ、寂しそうに微笑む先輩。

「でも…初めてお前に会ったとき…」

そうだよ。

だってあなたが…

“どうして、そんなに自分を隠すんですか?”

いつもいつも、自分を押し殺して、無理に微笑んでいたから。
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