たった一つのたからもの
第1話 屋敷
パパが聞かせてくれたお話しはほんの少しだけ覚えてる。
音亞が遊園地に行きたいって言ったこと、覚えててくれたんだ。

「……パパ……?」

でも、解ってる。朝目覚めると、パパは側にいない事。

「ママ……?……あれ?」

パパも、ママも見当たらないとかじゃなくて、家から物音がしない。家政婦さんくらいはいる筈なのに。

どうして?

「ママ?パパ?」

部屋から出て、ママだけでも探さなくちゃ。なんだかとっても嫌な予感がするの。怖い。

大きな家で、一人きりは嫌!
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