その蜜は海のように
対面式は国の中心にある大きく荘厳なフルモア城で行われた。

フルモア城はリィアの領から森を跨いだすぐそばにあるため半日で到着した。

さすが帝国の中枢の城だけあって眩しいくらい壁も床も磨き抜かれていた。

中央の扉に続く長い廊下を抜けると祭壇が置いてある。

本来祭壇は奥に仕舞われているが今はぽつんと壁の前にあった。

式は到着してフルモア城で帝国一美しいと言われている庭を見て回る時間もなくすぐに始められた。

祭壇へ続く道にずらりと帝国中の領主が並び、リィアは領主一人一人に堅苦しい挨拶をして少しずつ祭壇へと進んだ。

リィアは、みんなうちの領土の政治家みたいな老人ばかりで長旅に耐えられるかと全く別のことを考えていた。

最後の一人になったところで、あることに気がついた。

挨拶をしている時に何気なく見た相手の襟に視察団の一員である事を示す黄色の小さい羽飾りがついていなかった。

が、代わりに代理人、もしくは領主の付き添いの印の紫の羽がついていた。

リィアは、なにもこんな式典に欠席しなくてもいいのではないかと思ったが、領主の大変さは自分が一番知っているから特に気にもならなかった。

そして、祭壇で黄色の羽飾りをつけてもらい、対面式は終わった。
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