その蜜は海のように
リィアは、そう考えると森に吸い込まれるように見つめた。


どれくらい時が経っただろう。

眩しい夕日が沈み、星が出ていた。


部屋に来た侍女のアーヤに声をかけられるまでその存在に全く気付かなかった。

「リィア様、またこんなに暗くなるまで森を見て、お疲れなら早めにお休みください。」

アーヤは、暖炉に火をつけるとまた出ていった。

リィアは、アーヤが出ていくのを見て

「この家を出れば、自由だけど...
私の世話をする侍女もいない。
食事も全て自分で用意するのね。」

楽ではないことは分かっていた。


それでも、リィアはその事に惹かれた。

何を、天秤にかけても自由のほうが重かった。

「行きたい。 外に。」

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