キミ色で染まるキャンバス
安心したのもつかの間、
急いで両親を揺すってみる
「お父さん!!!お母さん!!!目を開けてっ!!!ここから逃げよ!!!!」
肩を揺らす力も強くなる
肩が外れるんじゃないかってくらい揺らしたところでやっとお父さんが口を開いた
「柚月……すまないが、俺たちは…もう長く持たないだろう…」
「え………………っ。」
「そ…うなの……。私たちは、く………」
「何?よく聞こえないよ…!」
実際、火の粉はさっきの倍も舞っている
聞きたくても聞こえないのだ
「………とにかく、柚木は"ともくん"のところに行きなさい…」
「とも…くん…?」
「…あぁ…。"ともくん"のところに行って、事情を…説明…すれば…分かって…く…れ…ゴホッゴホッ!」
「お父さんっ!!!しっかりして!!とにかく、外に出よう!!」
「…ダメだ…、父さんがいたら…足手まといに……ゴホッ…なる…から……」
「嫌よっ!!!一緒がいいよっ!!!お母さんからも言ってよっ!!!!」
私は顔をグチャグチャにして訴えた
トンっ……
お母さんが私の腿に手を置いて今までで一番穏やかな声で言った…
「私たちのことは…いいから……。あなたは"ともくん"と幸せになりなさい………。」
「だから…っ!"ともくん"ってだっ───────……。」
誰なのよ、
その言葉も虚しく、私は何かに押されて倒れた…
そのあとの記憶は全くと言っていいほど覚えてない……
ただ、とっても大切にしていた大きなコトを無くした感覚はしっかり感じていた…………