小咄
「じゃあ、欲しいモン貰うぜ」

 言うなり、しゅるりと帯を解く。
 元々ブラは着けていない。
 一刻も早く、あの苦しい矯正下着から逃れたかったのだ。

 あっという間に、深成は裸になった。

「……全く、どんだけ盛ってたんだ。内出血してるぞ」

 ちょっと呆れたように、真砂が深成の胸に目を落として言う。

「んと、だって矯正下着つけても、まだ服には余裕があったんだもん。ぴちっとしてたほうが、色っぽいでしょ? だから、パッドを三枚ほど……」

「お前な、そもそも自分に、そんな巨乳が似合うと思っているのか? でかい胸や尻が色っぽく見えるのは、それに見合ったバランスを持っているからだ。身体つきだって子供なのに、でかい胸なんざ似合うわけないだろ」

「ひどーい! 折角わらわが、真砂に見合う色っぽい女になろうとしてたのに〜っ」

 己の下できゃんきゃんと喚く深成に、真砂は、ふ、と鼻を鳴らした。
 そして、再び真砂の手は、深成の小さな胸を包む。
 素肌の胸を直接触られ、深成は今度こそ、びくんと身体を強張らせた。

「馬鹿だね、お前。そんな妙な小細工しなくても、一番のお祝いは、お前にしか出来ないのにさ」

「え? そ、そんな良いもの、あげられないよ。わらわに出来ることなの?」

「もちろん。お前にしか出来ないって言ってるだろ」

 そう言って、真砂は深成の口を塞いだ。
 己の口で。

 深成が目を見開き、固まる。
 少し息苦しくなったときに、僅かに真砂が唇を離した。

 ふ、と息をつこうとすると、その暇もなく、またすぐに唇を塞がれる。
 息を継ごうとしていたので、僅かに開いていた深成の唇の間から、真砂の舌が入ってくる。

「ん……んむむ……」

 思わず上げた声に、真砂が唇を離した。

「何とも色気のない声だな。……まぁ、そこがお前の可愛いところだが」

 後半はぼそ、と言い、真砂は深成の胸にあった手を、彼女の下半身に伸ばした。

「俺が欲しいのは、これだよ」

 深成の足の間に、真砂の手が忍び込む。

「んにゃっ! あ、ま、真砂っ」

 はた、と深成は、ベッドの周りを見渡した。
 だがやはり、ここはラブホテルではない。
 きちんとそういった行為に使う諸々のモノが用意されているわけではない。

 そうこうしているうちにも、真砂は深成を刺激する。
 さすがに上手い。
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