小咄
とある嵐の夜の物語
【キャスト】
mira商社 課長:真砂 派遣事務員:深成
※『とある若者たちの合コン事情』の続編。真砂・深成メイン※
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
「……雨、全然止まない。風も酷いし」
助手席で、ふるふると震える深成が呟く。
フロントガラスに叩きつける滝のような雨は、ワイパーを最強にしても、前が見えないほどだ。
「台風なんか来てたかな。こんな強風じゃ、どっちにしろお前なんざ、吹っ飛ばされるだろうな」
特に焦ることもなく、ハンドルを切りながら真砂が言う。
「どういう意味さっ」
「送ってやらにゃ、雷が鳴ってなくても帰れなかっただろう、ということだ」
「かっ雷が鳴ってたって、帰れるもんっ」
「嘘こけ。そんながくがくで、この雨風の中まともに歩けると思うのか。外に出たら、一瞬で空の彼方に飛ばされるさ」
「どんだけわらわが軽いと思ってんのさっ」
きぃきぃと噛み付く深成に、真砂が、はは、と笑う。
ちょっと、深成は目を見開いた。
真砂の笑顔を、初めて見たような気がする。
一瞬嵐を忘れた深成だったが、いきなり目を射るような光が走った。
ほぼ同時に、車の中でも聞こえるほどの雷鳴。
「ひいぃぃっ!!」
シートベルトをしているのに、深成は車の天井に頭をぶつけるほど、助手席で飛び上がった。
「もぅ、怖いよぅ〜〜っ」
我慢の限界に達したのか、深成はべそをかきながら、シートの上で丸まった。
「……おい……」
まさかここまでとは思わず、真砂が声をかけるが、深成は耳を押さえて猫のように丸まっている。
まじかよ、と小さく呟き、とにかく真砂は、自分のマンションへと急いだ。
mira商社 課長:真砂 派遣事務員:深成
※『とある若者たちの合コン事情』の続編。真砂・深成メイン※
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
「……雨、全然止まない。風も酷いし」
助手席で、ふるふると震える深成が呟く。
フロントガラスに叩きつける滝のような雨は、ワイパーを最強にしても、前が見えないほどだ。
「台風なんか来てたかな。こんな強風じゃ、どっちにしろお前なんざ、吹っ飛ばされるだろうな」
特に焦ることもなく、ハンドルを切りながら真砂が言う。
「どういう意味さっ」
「送ってやらにゃ、雷が鳴ってなくても帰れなかっただろう、ということだ」
「かっ雷が鳴ってたって、帰れるもんっ」
「嘘こけ。そんながくがくで、この雨風の中まともに歩けると思うのか。外に出たら、一瞬で空の彼方に飛ばされるさ」
「どんだけわらわが軽いと思ってんのさっ」
きぃきぃと噛み付く深成に、真砂が、はは、と笑う。
ちょっと、深成は目を見開いた。
真砂の笑顔を、初めて見たような気がする。
一瞬嵐を忘れた深成だったが、いきなり目を射るような光が走った。
ほぼ同時に、車の中でも聞こえるほどの雷鳴。
「ひいぃぃっ!!」
シートベルトをしているのに、深成は車の天井に頭をぶつけるほど、助手席で飛び上がった。
「もぅ、怖いよぅ〜〜っ」
我慢の限界に達したのか、深成はべそをかきながら、シートの上で丸まった。
「……おい……」
まさかここまでとは思わず、真砂が声をかけるが、深成は耳を押さえて猫のように丸まっている。
まじかよ、と小さく呟き、とにかく真砂は、自分のマンションへと急いだ。