小咄
「え、え~と。か、課長、眠くなったのなら、お布団敷くし……。あの、それまで待てないってんなら、わらわのベッドを使って貰ってもいいし」
何が起こっているのかわからず、深成は焦々と言葉を紡いだ。
何となく、沈黙になったら何かが起こりそうだ。
「わ、わらわ、おこたに入りたいなぁ~。ほら、湯冷めしちゃったら嫌だし。課長もおこたから出ちゃってんじゃん?」
へら、と笑って言ってみるが、真砂は、じぃ、と深成を見下ろしたまま、顔を近づけた。
「寒けりゃ、あっためてやる」
低く言い、深成のパジャマのボタンに手をかける。
ようやく深成は、真砂が何をしようとしているのかを理解した(遅)。
「わーーーっ!! ちょ、ちょーーっと待って!! えええ、ちょっと課長っ! 何する気?」
ここまで来て暴れだした深成を軽く押さえつけながら、真砂は深成の首筋に顔を埋める。
「何って。決まってるだろ。お前と二人でいても、こういう気分にはならないと思ってたが、酔うと駄目だな。抑えが効かない」
---ええ、お、抑えってどういうこと? 今まで課長、ずっとこういうことしたいのを我慢してたってことなの?---
首筋にかかる息に、鼓動が速まる。
ど、どうしよう、と思っていると、真砂が少しだけ上体を起こした。
「……いいか?」
真剣な表情で聞かれ、深成は言葉に詰まった。
何故か涙があふれてくる。
「何で泣く。嫌なのか?」
ふるふると首を振りつつ、深成は両拳でごしごしと涙を拭う。
「だ、だって……。課長の気持ちがわかんないんだもん」
声を出したことがきっかけで、深成は本格的に泣き出した。
えぐえぐとしゃくり上げる。
「何で課長は、わらわにこういうことするの。前だって、キスしたじゃん。わらわ、夢かと思ってたけど違うよね? 何でわざわざジュース買っておいてくれたり、送ってくれたりするの?」
「……前も言ったが、放っておけないからだ。好き……なんだろうな」
さらっと言う。
深成が、目を見開いて真砂を見た。
「俺からすると、お前のほうが謎だ。お前、俺のことどう思ってるんだ。前に、俺にしか甘えないとか言ってたが、ありゃどういう意味だ? 単に上司だからか?」
真砂が深成の上から身体をのけた。
炬燵に入り直すと、ベッドに頭を乗せる。
「えっと……。何でだろう。多分、わらわも課長のことが好きなんだと思う」
深成もごそごそと座り直し、俯いたまま小さく言う。
しばし、そのまま時が流れた。
俯いていた深成が、ちろ、と視線を上げると、真砂はベッドに頭を預けたまま、寝息を立てていた。
何が起こっているのかわからず、深成は焦々と言葉を紡いだ。
何となく、沈黙になったら何かが起こりそうだ。
「わ、わらわ、おこたに入りたいなぁ~。ほら、湯冷めしちゃったら嫌だし。課長もおこたから出ちゃってんじゃん?」
へら、と笑って言ってみるが、真砂は、じぃ、と深成を見下ろしたまま、顔を近づけた。
「寒けりゃ、あっためてやる」
低く言い、深成のパジャマのボタンに手をかける。
ようやく深成は、真砂が何をしようとしているのかを理解した(遅)。
「わーーーっ!! ちょ、ちょーーっと待って!! えええ、ちょっと課長っ! 何する気?」
ここまで来て暴れだした深成を軽く押さえつけながら、真砂は深成の首筋に顔を埋める。
「何って。決まってるだろ。お前と二人でいても、こういう気分にはならないと思ってたが、酔うと駄目だな。抑えが効かない」
---ええ、お、抑えってどういうこと? 今まで課長、ずっとこういうことしたいのを我慢してたってことなの?---
首筋にかかる息に、鼓動が速まる。
ど、どうしよう、と思っていると、真砂が少しだけ上体を起こした。
「……いいか?」
真剣な表情で聞かれ、深成は言葉に詰まった。
何故か涙があふれてくる。
「何で泣く。嫌なのか?」
ふるふると首を振りつつ、深成は両拳でごしごしと涙を拭う。
「だ、だって……。課長の気持ちがわかんないんだもん」
声を出したことがきっかけで、深成は本格的に泣き出した。
えぐえぐとしゃくり上げる。
「何で課長は、わらわにこういうことするの。前だって、キスしたじゃん。わらわ、夢かと思ってたけど違うよね? 何でわざわざジュース買っておいてくれたり、送ってくれたりするの?」
「……前も言ったが、放っておけないからだ。好き……なんだろうな」
さらっと言う。
深成が、目を見開いて真砂を見た。
「俺からすると、お前のほうが謎だ。お前、俺のことどう思ってるんだ。前に、俺にしか甘えないとか言ってたが、ありゃどういう意味だ? 単に上司だからか?」
真砂が深成の上から身体をのけた。
炬燵に入り直すと、ベッドに頭を乗せる。
「えっと……。何でだろう。多分、わらわも課長のことが好きなんだと思う」
深成もごそごそと座り直し、俯いたまま小さく言う。
しばし、そのまま時が流れた。
俯いていた深成が、ちろ、と視線を上げると、真砂はベッドに頭を預けたまま、寝息を立てていた。