小咄
とあるシェアハウスの物語
【キャスト】
住人:真砂・捨吉・千代・あき 新人:深成
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
そのシェアハウスは、白い外壁の小洒落た小さな家だった。
「うわぁ、可愛い。今日からここが、わらわの住まいかぁ」
トランク一つを抱えた深成は、家の前で感嘆の声を上げた。
「どんな人がいるんだろう。確かわらわが、最後の入居者だよね。楽しみ」
定員五人のシェアハウスだ。
すでに四人が入っていることは、家を選ぶ時点で聞いている。
男性二人、女性二人だという。
「バランスも丁度良いじゃんね。いざ」
気合いを入れ、玄関ドア横のチャイムを押す。
『はい』
若い男の声。
深成は呼び鈴についているカメラに向かって敬礼した。
「今日からお世話になりますっ。深成です!」
『あ、ちょっと待ってね』
ぶつ、とスピーカーが切れ、ばたばたと中を走る音がする。
そしてすぐに、がちゃりと扉が開いた。
「やぁ、いらっしゃい」
明るそうな、若い男の子が顔を出し、深成を中に招き入れた。
「深成ちゃんの部屋はあそこ。鍵はもらってるよね? あ、荷物届いてるよ。持ってきたのは、それだけ?」
説明しながら、深成が持っていたトランクを運んでくれる。
「ありがとう。えっと」
「あ、僕は捨吉。あとね、女の子が二人と、男性が一人」
にこにこと自己紹介する捨吉に、深成はぺこりと頭を下げた。
どうやらこの人は、いい人そうだ。
ほっとしていると、いきなり手前のドアが開いた。
「捨吉。新しい子が来たのかい?」
高飛車に言いながら姿を現したのは、目も眩むほどの美女だ。
そう華美な格好をしているわけでもない、小さめのTシャツにジーンズという、至って普通の格好なのに、モデルのような華やかさがある。
事実、ぴたりとしたTシャツとスリムジーンズで、はっきりとわかるボディラインは、モデル並みの美しさだ。
「わぁ、綺麗」
思わず声に出した深成に、女性は艶やかに微笑んだ。
「あら良い子だね。あたしは千代。よろしくね」
軽く深成の手を握り、挨拶を交わす。
その千代の目が、ふと深成を通り越した。
「ああもぅ、あき! 何をそんなところから見てるんだい!」
え、と振り返った深成は、思わず悲鳴を上げそうになった。
いつの間にか、向かいのドアとドアの間に、人がいたのだ。
今しがた、その前を通ってきたはずなのに、全く気づかなかった。
いつからいたのだろう。
「ほら、あきちゃん。深成ちゃんだよ。あきちゃんのほうが歳も近いだろうから、仲良くしてあげなよね」
捨吉が声をかけると、漫画のように顔半分だけ出して見ていた女の子が、おずおずと出てきた。
住人:真砂・捨吉・千代・あき 新人:深成
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そのシェアハウスは、白い外壁の小洒落た小さな家だった。
「うわぁ、可愛い。今日からここが、わらわの住まいかぁ」
トランク一つを抱えた深成は、家の前で感嘆の声を上げた。
「どんな人がいるんだろう。確かわらわが、最後の入居者だよね。楽しみ」
定員五人のシェアハウスだ。
すでに四人が入っていることは、家を選ぶ時点で聞いている。
男性二人、女性二人だという。
「バランスも丁度良いじゃんね。いざ」
気合いを入れ、玄関ドア横のチャイムを押す。
『はい』
若い男の声。
深成は呼び鈴についているカメラに向かって敬礼した。
「今日からお世話になりますっ。深成です!」
『あ、ちょっと待ってね』
ぶつ、とスピーカーが切れ、ばたばたと中を走る音がする。
そしてすぐに、がちゃりと扉が開いた。
「やぁ、いらっしゃい」
明るそうな、若い男の子が顔を出し、深成を中に招き入れた。
「深成ちゃんの部屋はあそこ。鍵はもらってるよね? あ、荷物届いてるよ。持ってきたのは、それだけ?」
説明しながら、深成が持っていたトランクを運んでくれる。
「ありがとう。えっと」
「あ、僕は捨吉。あとね、女の子が二人と、男性が一人」
にこにこと自己紹介する捨吉に、深成はぺこりと頭を下げた。
どうやらこの人は、いい人そうだ。
ほっとしていると、いきなり手前のドアが開いた。
「捨吉。新しい子が来たのかい?」
高飛車に言いながら姿を現したのは、目も眩むほどの美女だ。
そう華美な格好をしているわけでもない、小さめのTシャツにジーンズという、至って普通の格好なのに、モデルのような華やかさがある。
事実、ぴたりとしたTシャツとスリムジーンズで、はっきりとわかるボディラインは、モデル並みの美しさだ。
「わぁ、綺麗」
思わず声に出した深成に、女性は艶やかに微笑んだ。
「あら良い子だね。あたしは千代。よろしくね」
軽く深成の手を握り、挨拶を交わす。
その千代の目が、ふと深成を通り越した。
「ああもぅ、あき! 何をそんなところから見てるんだい!」
え、と振り返った深成は、思わず悲鳴を上げそうになった。
いつの間にか、向かいのドアとドアの間に、人がいたのだ。
今しがた、その前を通ってきたはずなのに、全く気づかなかった。
いつからいたのだろう。
「ほら、あきちゃん。深成ちゃんだよ。あきちゃんのほうが歳も近いだろうから、仲良くしてあげなよね」
捨吉が声をかけると、漫画のように顔半分だけ出して見ていた女の子が、おずおずと出てきた。