小咄
VD当日の朝。
ふ、と目を開け、深成はすぐ横の真砂に目をやった。
珍しく、まだ寝ている。
今日はバレンタインだから、真砂が寝ている間に起きだしてチョコを作ろう、と思い、はた、と気付く。
真砂と眠るのは珍しいことではないが、身体が痛い。
しかも裸だ。
えっと、と昨夜のことを思い出しつつ、そろそろと上体を起こすと、身体中にキスマーク。
ぼわ、と深成の顔が火を噴いた。
同時に力を入れたお陰で、下腹部に痛みが走る。
「いっ……たたたっ」
思わず叫び、深成は布団の中で丸まった。
身体を動かすたびに、あらゆるところが悲鳴を上げる。
全身筋肉痛のようだ。
深成が悶絶していると、真砂がもぞりと動いた。
「どうした?」
布団をめくって深成を覗き込む。
ちら、と真砂を見、深成はすぐに顔を伏せた。
「もぅ課長っ。そんな格好なんだから、お布団から出ないでよっ」
当然真砂も裸だ。
だが真砂は気にする風もなく、丸まる深成に身体を寄せた。
「役職で呼ぶなって言ったろ」
がばっと抱きしめられる。
あわわ、と暴れた深成だが、暴れると身体中に痛みが走る。
「ちょ、ま、真砂っ。いたた……」
身体中が痛いが、やはり下腹部の痛みが気になる。
お腹を押さえて蹲る深成に、真砂がちょっと心配そうな顔をした。
「おい、大丈夫か」
深成の肩に手を置いて覗き込む。
「もぅっ。わらわ、ちゃんと真砂って呼んだのに、すっごく痛くするんだもん」
少し赤い顔で、深成が頬を膨らます。
真砂は深成を抱き寄せ、軽くキスをした。
「出来るだけ痛くないようにはしたつもりだがなぁ。けど俺も、やっとだと思うと欲望が勝ったかも。お前の痛がり方が、また可愛いし」
「課長っ。やっぱりドSなんだからっ。折角早起きしてチョコ作ってあげようと思ってたのにさ、お腹が痛くて起きられない」
何せ昨夜は、明け方まで翻弄されたのだ。
初めてなのに激し過ぎてくたくたである。
「ちょっと無理させたかなぁ。大丈夫か?」
言いつつ、深成を背後から抱いた真砂が、深成の下腹部を撫でる。
「ん、駄目だって。もう無理だよ」
「朝のほうがやりたいって、前言ったろ」
「さ、さっきまでやってたのに、まだ足りないの」
「さっきまでは言い過ぎだろ」
素早く真砂が反転し、どさ、と深成を押し倒す。
「つか、あれだけで満足したと思うのか? 俺がどれだけ我慢してたと思うんだよ。まだまだ全然足りないね」
「ど、どんだけ溜まってるのさーっ」
「お前のせいだろうが」
深成の胸に顔を埋めながら、真砂が言う。
が、すぐに真砂は顔を上げた。
「でもま、お前が辛いかもな。気持ちよくなきゃ楽しくないだろ」
くしゃくしゃと深成の前髪を撫でる。
少し深成は微妙な顔をした。
昨夜はただただ痛かった。
あまりの痛みに身体の中がどうにかなるんじゃないかという恐怖でいっぱいで、わけもわからず真砂に抱きついていた。
しかも途中で気を失ったような。
それからは、何か海の中を漂うような、常に気を失う寸前のような心地よい感覚に身を委ねていた。
「も、もう痛くない?」
上目遣いに見上げて言う深成に、真砂はにやりと笑った。
「そうだな。今晩は、痛くないだろうさ」
結局深成が起きだしたのは昼過ぎだ。
身体は痛いがチョコを作るため、キッチンに立つ。
「無理せんでいいぞ」
「大丈夫。ていうか、他の人からチョコ貰ってるのに、わらわがあげないなんて嫌だ」
ふぐのように膨れつつチョコを溶かしている深成を、可愛い奴、と思いながら、真砂は隣に立って深成の手元を覗き込んだ。
そして、溶けたチョコを指先に取る。
「お前からは、一番欲しかったものを貰ったがな」
言いながら、指先のチョコを深成の唇に、ちょい、と塗った。
そのまま顔を近付け、深成の唇についたチョコを舐める。
「これで十分」
「課長……」
ぽや、と見上げる深成を抱きしめ、真砂は耳元で呟いた。
「役職で呼ぶなと言っただろ」
「難しい。でも課長の言うとおり、いつまでも課長じゃないもんね」
真砂の腕の中で、うん、と深成が頷く。
そして、ぎゅっと真砂に抱きついた。
「真砂、大好き」
にこ、と微笑む深成に、湧き上がる欲望を、とりあえず夜までは我慢する真砂なのであった。
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
VDでとうとうです。
とうとうというか、やっとというか( ̄▽ ̄)
ようやく真砂の欲望が叶えられました。
我慢させられたぶん、深成にとっては大変な夜だったでしょうけど。
これ、深成が痛がって、思い切り真砂を蹴り飛ばしてまた出来ませんでした、という風にしようかなぁ、とも思ったんですがね。
そろそろ真砂も可哀想だし( ̄▽ ̄)
そして捨吉&あきちゃんのところも。
こちらはまだまだ学生のノリですが、正式にお付き合いスタートです。
二組ともそれぞれ欲しいものを手に入れることができたのも、ミラ子社長の粋なはからいによるものでしょうね。
さて真砂の欲望が叶った今、新たなリクエストは入るのか?
はたまた課長バージョン終了か?( ̄▽ ̄)
2016/02/11 藤堂 左近
ふ、と目を開け、深成はすぐ横の真砂に目をやった。
珍しく、まだ寝ている。
今日はバレンタインだから、真砂が寝ている間に起きだしてチョコを作ろう、と思い、はた、と気付く。
真砂と眠るのは珍しいことではないが、身体が痛い。
しかも裸だ。
えっと、と昨夜のことを思い出しつつ、そろそろと上体を起こすと、身体中にキスマーク。
ぼわ、と深成の顔が火を噴いた。
同時に力を入れたお陰で、下腹部に痛みが走る。
「いっ……たたたっ」
思わず叫び、深成は布団の中で丸まった。
身体を動かすたびに、あらゆるところが悲鳴を上げる。
全身筋肉痛のようだ。
深成が悶絶していると、真砂がもぞりと動いた。
「どうした?」
布団をめくって深成を覗き込む。
ちら、と真砂を見、深成はすぐに顔を伏せた。
「もぅ課長っ。そんな格好なんだから、お布団から出ないでよっ」
当然真砂も裸だ。
だが真砂は気にする風もなく、丸まる深成に身体を寄せた。
「役職で呼ぶなって言ったろ」
がばっと抱きしめられる。
あわわ、と暴れた深成だが、暴れると身体中に痛みが走る。
「ちょ、ま、真砂っ。いたた……」
身体中が痛いが、やはり下腹部の痛みが気になる。
お腹を押さえて蹲る深成に、真砂がちょっと心配そうな顔をした。
「おい、大丈夫か」
深成の肩に手を置いて覗き込む。
「もぅっ。わらわ、ちゃんと真砂って呼んだのに、すっごく痛くするんだもん」
少し赤い顔で、深成が頬を膨らます。
真砂は深成を抱き寄せ、軽くキスをした。
「出来るだけ痛くないようにはしたつもりだがなぁ。けど俺も、やっとだと思うと欲望が勝ったかも。お前の痛がり方が、また可愛いし」
「課長っ。やっぱりドSなんだからっ。折角早起きしてチョコ作ってあげようと思ってたのにさ、お腹が痛くて起きられない」
何せ昨夜は、明け方まで翻弄されたのだ。
初めてなのに激し過ぎてくたくたである。
「ちょっと無理させたかなぁ。大丈夫か?」
言いつつ、深成を背後から抱いた真砂が、深成の下腹部を撫でる。
「ん、駄目だって。もう無理だよ」
「朝のほうがやりたいって、前言ったろ」
「さ、さっきまでやってたのに、まだ足りないの」
「さっきまでは言い過ぎだろ」
素早く真砂が反転し、どさ、と深成を押し倒す。
「つか、あれだけで満足したと思うのか? 俺がどれだけ我慢してたと思うんだよ。まだまだ全然足りないね」
「ど、どんだけ溜まってるのさーっ」
「お前のせいだろうが」
深成の胸に顔を埋めながら、真砂が言う。
が、すぐに真砂は顔を上げた。
「でもま、お前が辛いかもな。気持ちよくなきゃ楽しくないだろ」
くしゃくしゃと深成の前髪を撫でる。
少し深成は微妙な顔をした。
昨夜はただただ痛かった。
あまりの痛みに身体の中がどうにかなるんじゃないかという恐怖でいっぱいで、わけもわからず真砂に抱きついていた。
しかも途中で気を失ったような。
それからは、何か海の中を漂うような、常に気を失う寸前のような心地よい感覚に身を委ねていた。
「も、もう痛くない?」
上目遣いに見上げて言う深成に、真砂はにやりと笑った。
「そうだな。今晩は、痛くないだろうさ」
結局深成が起きだしたのは昼過ぎだ。
身体は痛いがチョコを作るため、キッチンに立つ。
「無理せんでいいぞ」
「大丈夫。ていうか、他の人からチョコ貰ってるのに、わらわがあげないなんて嫌だ」
ふぐのように膨れつつチョコを溶かしている深成を、可愛い奴、と思いながら、真砂は隣に立って深成の手元を覗き込んだ。
そして、溶けたチョコを指先に取る。
「お前からは、一番欲しかったものを貰ったがな」
言いながら、指先のチョコを深成の唇に、ちょい、と塗った。
そのまま顔を近付け、深成の唇についたチョコを舐める。
「これで十分」
「課長……」
ぽや、と見上げる深成を抱きしめ、真砂は耳元で呟いた。
「役職で呼ぶなと言っただろ」
「難しい。でも課長の言うとおり、いつまでも課長じゃないもんね」
真砂の腕の中で、うん、と深成が頷く。
そして、ぎゅっと真砂に抱きついた。
「真砂、大好き」
にこ、と微笑む深成に、湧き上がる欲望を、とりあえず夜までは我慢する真砂なのであった。
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
VDでとうとうです。
とうとうというか、やっとというか( ̄▽ ̄)
ようやく真砂の欲望が叶えられました。
我慢させられたぶん、深成にとっては大変な夜だったでしょうけど。
これ、深成が痛がって、思い切り真砂を蹴り飛ばしてまた出来ませんでした、という風にしようかなぁ、とも思ったんですがね。
そろそろ真砂も可哀想だし( ̄▽ ̄)
そして捨吉&あきちゃんのところも。
こちらはまだまだ学生のノリですが、正式にお付き合いスタートです。
二組ともそれぞれ欲しいものを手に入れることができたのも、ミラ子社長の粋なはからいによるものでしょうね。
さて真砂の欲望が叶った今、新たなリクエストは入るのか?
はたまた課長バージョン終了か?( ̄▽ ̄)
2016/02/11 藤堂 左近