小咄
とある高校生カップルのホワイトデー
【キャスト】
彼氏:真砂 彼女:深成
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
「深成ちゃん。ホワイトデー、何か聞いてる?」
HRが終わってから、あきが不意に深成に聞いた。
「ん? ああ、そういえば。まだ何も聞いてないなぁ」
荷物をまとめながら、深成は首を傾げた。
バレンタイン前に一悶着あり、さらに入試の直前だったこともあって、結局バレンタインはケーキをあげるだけに留まった。
あげるといっても一緒に食べたのだが。
だが二月の末に入試も終わり、真砂は卒業してしまったが、それからはさらに順調だ。
「ていうか、先輩もわらわも、それどころじゃない~」
ぎゅっと鞄を抱き締める。
本日三月十日は真砂の合格発表。
正午からのはずなので、すでに合否はわかっているはずだ。
「あ、そっか。まだ先輩から連絡はないの?」
何となく、いの一番に深成に連絡してきそうだが。
が、深成はふるふるふる、と震える手で、握りしめた携帯をあきに見せた。
「メール入ってるよ」
受信ランプが光っている。
が、深成は目をぎゅっと瞑って、ふるふると首を振った。
「多分先輩。だけど……怖くて見れない~~~!!」
何と。
折角真砂が早々に連絡してきているのに、まだ見ていないらしい。
「何言ってるのよ! 深成ちゃんからの返信、待ってるに決まってるでしょ。早く返信しなよ!」
「だ、だってぇ。もし駄目だったら? 何て言えばいいのかわかんない~」
「大丈夫だって。早くに連絡してきたんだったら、合格したってことだよ、きっと」
うう、と相変わらず携帯を握りしめている深成をせっつくが、深成はなかなかメールを開かない。
と、ざわ、と教室内が騒がしくなった。
皆の視線が教室の入り口に向く。
のろのろと顔を向けると、そこには怒り顔の真砂の姿。
結果を職員に伝えに来たらしい。
「せっ先輩っ!!」
「連絡しただろうが! 何で返さないんだよ」
人目も憚らず怒鳴る。
おお、と教室内全員の目が深成に注がれた。
「ごめんなさい~。だって、怖くって、どうしても見れない~~」
受信ランプのついた携帯を示しながら、深成は真砂に駆け寄る。
「ど、どうだったのっ? 合格した?」
深成が聞くと、真砂は顎で、ちょい、と携帯を示した。
「見てみろ」
「……」
不安そうに真砂を見、深成は震える手でメールを開いた。
出て来たのは一枚の写真。
合格発表のボードらしい。
深成は慌てて画像を拡大しつつ、慎重になぞって番号を見ていった。
「ていうかさ、ボードの一部分だけを映してるってことは、そこに俺の番号があるってことだろ」
いちいち全部探しそうな深成に、ちょっと呆れたように真砂が言う。
え、と深成は真砂を見、ぱっと笑顔になった。
「うわぁ、凄い! おめでとう!」
「……折角すぐに連絡したのによ。さっさと見ろよな」
深成の嬉しそうな笑顔に、ちょっと照れたように言い、真砂はちらりと教室内を見た。
「終わったんだろ。帰るぞ」
「あ、うん。あきちゃん、じゃ、明日ね~」
ひらひらと手を振り、深成は真砂の後を追った。
---凄い。真砂先輩って、結構一直線ね。周りの目なんて気にしない人なんだ。こんなに皆が自分を見てるってのに、自分は深成ちゃんしか見てないし。自分の気持ちもダダ漏れじゃない? にしても深成ちゃんに笑顔を向けられると、あの先輩でもくらっとなるのね! もぅ、二人のときとか、どんな感じになるのかしら~!---
にまにまと笑いながら、あきは手を振るのであった。
彼氏:真砂 彼女:深成
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
「深成ちゃん。ホワイトデー、何か聞いてる?」
HRが終わってから、あきが不意に深成に聞いた。
「ん? ああ、そういえば。まだ何も聞いてないなぁ」
荷物をまとめながら、深成は首を傾げた。
バレンタイン前に一悶着あり、さらに入試の直前だったこともあって、結局バレンタインはケーキをあげるだけに留まった。
あげるといっても一緒に食べたのだが。
だが二月の末に入試も終わり、真砂は卒業してしまったが、それからはさらに順調だ。
「ていうか、先輩もわらわも、それどころじゃない~」
ぎゅっと鞄を抱き締める。
本日三月十日は真砂の合格発表。
正午からのはずなので、すでに合否はわかっているはずだ。
「あ、そっか。まだ先輩から連絡はないの?」
何となく、いの一番に深成に連絡してきそうだが。
が、深成はふるふるふる、と震える手で、握りしめた携帯をあきに見せた。
「メール入ってるよ」
受信ランプが光っている。
が、深成は目をぎゅっと瞑って、ふるふると首を振った。
「多分先輩。だけど……怖くて見れない~~~!!」
何と。
折角真砂が早々に連絡してきているのに、まだ見ていないらしい。
「何言ってるのよ! 深成ちゃんからの返信、待ってるに決まってるでしょ。早く返信しなよ!」
「だ、だってぇ。もし駄目だったら? 何て言えばいいのかわかんない~」
「大丈夫だって。早くに連絡してきたんだったら、合格したってことだよ、きっと」
うう、と相変わらず携帯を握りしめている深成をせっつくが、深成はなかなかメールを開かない。
と、ざわ、と教室内が騒がしくなった。
皆の視線が教室の入り口に向く。
のろのろと顔を向けると、そこには怒り顔の真砂の姿。
結果を職員に伝えに来たらしい。
「せっ先輩っ!!」
「連絡しただろうが! 何で返さないんだよ」
人目も憚らず怒鳴る。
おお、と教室内全員の目が深成に注がれた。
「ごめんなさい~。だって、怖くって、どうしても見れない~~」
受信ランプのついた携帯を示しながら、深成は真砂に駆け寄る。
「ど、どうだったのっ? 合格した?」
深成が聞くと、真砂は顎で、ちょい、と携帯を示した。
「見てみろ」
「……」
不安そうに真砂を見、深成は震える手でメールを開いた。
出て来たのは一枚の写真。
合格発表のボードらしい。
深成は慌てて画像を拡大しつつ、慎重になぞって番号を見ていった。
「ていうかさ、ボードの一部分だけを映してるってことは、そこに俺の番号があるってことだろ」
いちいち全部探しそうな深成に、ちょっと呆れたように真砂が言う。
え、と深成は真砂を見、ぱっと笑顔になった。
「うわぁ、凄い! おめでとう!」
「……折角すぐに連絡したのによ。さっさと見ろよな」
深成の嬉しそうな笑顔に、ちょっと照れたように言い、真砂はちらりと教室内を見た。
「終わったんだろ。帰るぞ」
「あ、うん。あきちゃん、じゃ、明日ね~」
ひらひらと手を振り、深成は真砂の後を追った。
---凄い。真砂先輩って、結構一直線ね。周りの目なんて気にしない人なんだ。こんなに皆が自分を見てるってのに、自分は深成ちゃんしか見てないし。自分の気持ちもダダ漏れじゃない? にしても深成ちゃんに笑顔を向けられると、あの先輩でもくらっとなるのね! もぅ、二人のときとか、どんな感じになるのかしら~!---
にまにまと笑いながら、あきは手を振るのであった。