小咄
「あれ深成ちゃん。おはよう~。どうしたの?」
ぜぃぜぃと息を切らせて飛び込んできた深成に、あきが呑気に声をかける。
その瞬間、始業のチャイムが鳴った。
「ま、間に合った……」
はぁはぁと自分の席につき、ふと真砂の席を見る。
その途端、深成の目が吊り上がった。
「ま、まだ来てないじゃんっ!!」
おのれ、わらわには時間通りに来るよう釘を刺しておいて……と怒りに震えていると、あきが、きょとんとした顔で言った。
「課長はフレックスだもの。最近夜も遅いし、お疲れなんじゃないかしら。心配だわ」
「え?」
「千代姐さんがいない分、課長がお仕事捌いてるのよ」
「わらわに押しつけてるじゃん」
「深成ちゃんに頼んでるのは、ほんの一部だよ。深成ちゃんも、結構いっぱいいっぱいなのわかってるから、あんまり振ってないんだよ? ああ、課長ったら、陰ながら深成ちゃんを庇うなんて、なんて優しいのかしら……」
うっとりと言うあきに、深成は微妙な顔になる。
「そんなの、全然言わないし。ていうか、普通にわらわ、しごかれてるし」
「言わないのがまた、男らしいんじゃない! ほら、深成ちゃんはまだ慣れてないし、営業のことなんて出来ないでしょ? 深成ちゃんに振るまでに、結構いろいろあるんだよ? 決済とか、そのための資料作りとか。捨吉くんも、まだまだだしさ。そういうの、全部課長がしてるのよ」
素晴らしいわぁ、と何やら考えながら、あきが言っていると、真砂がフロアに入ってきた。
「あら早い。もう課長ったら、もっとゆっくりなさっても良いのに!」
何故か身悶えしながら、あきが言う。
どさ、とデスクに荷物を置き、ちらりと真砂は深成を見た。
「おはようございまぁす」
ちょっと照れもあり、憮然と言う深成に、真砂は少しだけ口角を上げた。
そして深成に近づくと、昨日のように、ぽんと頭に手を置く。
「偉いじゃないか。遅刻しなかったのか」
頭の上の感触に、ちょっとほんわかした深成がふと気づくと、少し向こうの机から、あきがファイルで顔の下半分を隠して凝視している。
何かを激しく考えているような、尋常でない目の充血だ。
ファイルに隠れた顔の下半分は、一体どうなっているのだろう。
ぽや、としていると、不意に、どさ、と真砂が山のような書類を深成の机に置いた。
「やることは、昨日とほぼ同じだ。ちょっと量が多いがな。一回やったことだ、昨日より早く出来るだろう?」
にやりと笑う。
こうなると、頭に置かれた手は、まるで逃げられないよう押さえつけているようにしか思えない。
深成はふるふると、小さく震えた。
そして今日も、深成は夕飯を食いっぱぐれるのであった。
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
長!!いやもうこれ、書きたくて( ̄∀ ̄)ゞまさかこんなに長くなるとは思わなかったんだけど。
これ、普通に書いてたら30pぐらいになるよ。
どうだ~、純正オフィスラブも書けるんだぞ~と思ったものの、これを別のお話として、ちゃんとしたオフィスラブものを書くことはせず。
何故ならやっぱりこれは、真砂と深成でないと( ̄・・ ̄)b
端からこの二人で作ってるから、新たなキャラでは駄目なんですよ。
それに、やっぱり単なるお遊びスピンオフ(ていうのもおこがましいほどだが)ならではの、ふざけた部分があってのことだし。
……普通ならあり得ない、深成の子供っぽさとか。深成の一人称とか。
さてここでは何気に急展開。まさかまさかの、二人がホテルへ!
一晩過ごしたようですが、真砂はほんとに深成に手ぇ出さなかったのかな( ̄∀ ̄)
まぁ自分の家に連れて行かない理由が、『吐かれたら嫌だから』ていうだけの男だから。
この出来事を千代が知ったらどうなることやら。
そういえば、ここで真砂はウイスキーを飲んでおりますが、真砂のイメージとしては、やっぱり日本酒とか焼酎などの、和風なお酒が似合うなぁと。でもバーだからさ。考えた末に、ウイスキーになりましたとさ。
グラスがね、ブランデーとかワイングラスとかのグラスじゃなくて、背の低いロックグラスならまだいいだろうと。お猪口や杯が一番なんだけど。
そして女子悶絶必殺技、『前髪くしゃ』を連発(つっても二回だけど)しても、やはり深成はびっくりし、そして喜ぶだけでした、と。むしろ見ているあきがヤバいっていう( ̄∀ ̄)
2014/03/16 藤堂 左近
ぜぃぜぃと息を切らせて飛び込んできた深成に、あきが呑気に声をかける。
その瞬間、始業のチャイムが鳴った。
「ま、間に合った……」
はぁはぁと自分の席につき、ふと真砂の席を見る。
その途端、深成の目が吊り上がった。
「ま、まだ来てないじゃんっ!!」
おのれ、わらわには時間通りに来るよう釘を刺しておいて……と怒りに震えていると、あきが、きょとんとした顔で言った。
「課長はフレックスだもの。最近夜も遅いし、お疲れなんじゃないかしら。心配だわ」
「え?」
「千代姐さんがいない分、課長がお仕事捌いてるのよ」
「わらわに押しつけてるじゃん」
「深成ちゃんに頼んでるのは、ほんの一部だよ。深成ちゃんも、結構いっぱいいっぱいなのわかってるから、あんまり振ってないんだよ? ああ、課長ったら、陰ながら深成ちゃんを庇うなんて、なんて優しいのかしら……」
うっとりと言うあきに、深成は微妙な顔になる。
「そんなの、全然言わないし。ていうか、普通にわらわ、しごかれてるし」
「言わないのがまた、男らしいんじゃない! ほら、深成ちゃんはまだ慣れてないし、営業のことなんて出来ないでしょ? 深成ちゃんに振るまでに、結構いろいろあるんだよ? 決済とか、そのための資料作りとか。捨吉くんも、まだまだだしさ。そういうの、全部課長がしてるのよ」
素晴らしいわぁ、と何やら考えながら、あきが言っていると、真砂がフロアに入ってきた。
「あら早い。もう課長ったら、もっとゆっくりなさっても良いのに!」
何故か身悶えしながら、あきが言う。
どさ、とデスクに荷物を置き、ちらりと真砂は深成を見た。
「おはようございまぁす」
ちょっと照れもあり、憮然と言う深成に、真砂は少しだけ口角を上げた。
そして深成に近づくと、昨日のように、ぽんと頭に手を置く。
「偉いじゃないか。遅刻しなかったのか」
頭の上の感触に、ちょっとほんわかした深成がふと気づくと、少し向こうの机から、あきがファイルで顔の下半分を隠して凝視している。
何かを激しく考えているような、尋常でない目の充血だ。
ファイルに隠れた顔の下半分は、一体どうなっているのだろう。
ぽや、としていると、不意に、どさ、と真砂が山のような書類を深成の机に置いた。
「やることは、昨日とほぼ同じだ。ちょっと量が多いがな。一回やったことだ、昨日より早く出来るだろう?」
にやりと笑う。
こうなると、頭に置かれた手は、まるで逃げられないよう押さえつけているようにしか思えない。
深成はふるふると、小さく震えた。
そして今日も、深成は夕飯を食いっぱぐれるのであった。
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
長!!いやもうこれ、書きたくて( ̄∀ ̄)ゞまさかこんなに長くなるとは思わなかったんだけど。
これ、普通に書いてたら30pぐらいになるよ。
どうだ~、純正オフィスラブも書けるんだぞ~と思ったものの、これを別のお話として、ちゃんとしたオフィスラブものを書くことはせず。
何故ならやっぱりこれは、真砂と深成でないと( ̄・・ ̄)b
端からこの二人で作ってるから、新たなキャラでは駄目なんですよ。
それに、やっぱり単なるお遊びスピンオフ(ていうのもおこがましいほどだが)ならではの、ふざけた部分があってのことだし。
……普通ならあり得ない、深成の子供っぽさとか。深成の一人称とか。
さてここでは何気に急展開。まさかまさかの、二人がホテルへ!
一晩過ごしたようですが、真砂はほんとに深成に手ぇ出さなかったのかな( ̄∀ ̄)
まぁ自分の家に連れて行かない理由が、『吐かれたら嫌だから』ていうだけの男だから。
この出来事を千代が知ったらどうなることやら。
そういえば、ここで真砂はウイスキーを飲んでおりますが、真砂のイメージとしては、やっぱり日本酒とか焼酎などの、和風なお酒が似合うなぁと。でもバーだからさ。考えた末に、ウイスキーになりましたとさ。
グラスがね、ブランデーとかワイングラスとかのグラスじゃなくて、背の低いロックグラスならまだいいだろうと。お猪口や杯が一番なんだけど。
そして女子悶絶必殺技、『前髪くしゃ』を連発(つっても二回だけど)しても、やはり深成はびっくりし、そして喜ぶだけでした、と。むしろ見ているあきがヤバいっていう( ̄∀ ̄)
2014/03/16 藤堂 左近