小咄
とあるmira商社のランチミーティング
【キャスト】
社長:ミラ子さん 課長:真砂・清五郎
派遣事務員:深成 女子社員:あき
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
ある日のお昼前。
自席でPCに向かっていた真砂の顔が、僅かに顰められた。
同時に十二時を告げるチャイムが鳴る。
「さ〜、お昼だ〜」
嬉しそうに伸びをしつつ、深成がいそいそとお弁当を用意する。
そしてふと、真砂を見た。
「課長、お昼だよ」
渋い顔で頭を押さえている真砂に言う。
「……ああ」
「お昼からさ、出来た書類のチェックお願いしていい?」
具合でも悪いのかと思い、ちょっと遠慮がちに言ってみる。
真砂はちらりと視線を上げると、深成の机にある書類を見た。
「今から会議だ。いつ終わるかわからんから、急ぎのものがあるなら、部長に頼め」
「ええっ。今からって、ご飯は? ご飯食べないと死んじゃうよ?」
「一食抜いたぐらいで死ぬのなんざ、お前だけだ。社会人には、ランチミーティングというものがある。覚えておくんだな」
「ランチミーティング? ご飯の会議?」
きょとん、と首を傾げる深成に冷たい視線を残し、真砂はPCを閉じると、フロアを出て行った。
「いろんなご飯を食べられるのかなぁ。いいなぁ」
真砂の後ろ姿を見送りながら呟く深成に、あきがお弁当を持って誘いにきた。
「何言ってるの。ランチミーティングっていうのは、お昼ご飯食べつつの会議よ。休めないから、面白くもないわよ。ただ、今回の会議はどうかしら。社長直々のお呼び出しのようだし」
ブースでお弁当を広げながら、ふふふ、とあきが含み笑いする。
「え、課長、何かやらかしたの?」
社長からの呼び出しなど、怒られること以外にあるのだろうか、と単純に思った深成だったが、あきは、ちちち、と指を振る。
「まさか。あの課長に限って、そんなヘマするわけないじゃない。それに何と言っても、課長は社長のお気に入りだしね」
またもふふふ、とあきの目尻が下がる。
深成はカニさんウインナーを齧りながら、眉間に皺を寄せた。
「確かに仕事は出来るけどさぁ。可愛くないじゃん」
「格好良いもの。仕事が出来て、頭も顔も良いなんて。そりゃ社長も可愛がるわけよね」
「社長って、女の人だったっけ。うわ、課長、女社長をたらしこんでるのっ」
「課長になら、たらしこまれてみたいわぁ〜」
うっとりと、あきは視線を宙に投げる。
深成は、そろ、とティッシュを用意した。
社長:ミラ子さん 課長:真砂・清五郎
派遣事務員:深成 女子社員:あき
・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
ある日のお昼前。
自席でPCに向かっていた真砂の顔が、僅かに顰められた。
同時に十二時を告げるチャイムが鳴る。
「さ〜、お昼だ〜」
嬉しそうに伸びをしつつ、深成がいそいそとお弁当を用意する。
そしてふと、真砂を見た。
「課長、お昼だよ」
渋い顔で頭を押さえている真砂に言う。
「……ああ」
「お昼からさ、出来た書類のチェックお願いしていい?」
具合でも悪いのかと思い、ちょっと遠慮がちに言ってみる。
真砂はちらりと視線を上げると、深成の机にある書類を見た。
「今から会議だ。いつ終わるかわからんから、急ぎのものがあるなら、部長に頼め」
「ええっ。今からって、ご飯は? ご飯食べないと死んじゃうよ?」
「一食抜いたぐらいで死ぬのなんざ、お前だけだ。社会人には、ランチミーティングというものがある。覚えておくんだな」
「ランチミーティング? ご飯の会議?」
きょとん、と首を傾げる深成に冷たい視線を残し、真砂はPCを閉じると、フロアを出て行った。
「いろんなご飯を食べられるのかなぁ。いいなぁ」
真砂の後ろ姿を見送りながら呟く深成に、あきがお弁当を持って誘いにきた。
「何言ってるの。ランチミーティングっていうのは、お昼ご飯食べつつの会議よ。休めないから、面白くもないわよ。ただ、今回の会議はどうかしら。社長直々のお呼び出しのようだし」
ブースでお弁当を広げながら、ふふふ、とあきが含み笑いする。
「え、課長、何かやらかしたの?」
社長からの呼び出しなど、怒られること以外にあるのだろうか、と単純に思った深成だったが、あきは、ちちち、と指を振る。
「まさか。あの課長に限って、そんなヘマするわけないじゃない。それに何と言っても、課長は社長のお気に入りだしね」
またもふふふ、とあきの目尻が下がる。
深成はカニさんウインナーを齧りながら、眉間に皺を寄せた。
「確かに仕事は出来るけどさぁ。可愛くないじゃん」
「格好良いもの。仕事が出来て、頭も顔も良いなんて。そりゃ社長も可愛がるわけよね」
「社長って、女の人だったっけ。うわ、課長、女社長をたらしこんでるのっ」
「課長になら、たらしこまれてみたいわぁ〜」
うっとりと、あきは視線を宙に投げる。
深成は、そろ、とティッシュを用意した。