小咄
 そして千代が研修に行ってしまってから、mira商社の一角では、常に罵声が響いていた。

「阿呆! どうやったらこんな数字が出てくるんだ! お前、Excelもろくに使えないのか?」

「社印が抜けとる! 違う、ここに押すんだ! 何度も言わせるな!!」

 日がな一日、フロアの隅にある打ち合わせブースに籠もってしごかれる。
 真砂がべったりと傍にいるので、休憩もままならない。

「か、課長~。わらわ、お腹空いた……。お菓子取ってきていい?」

 とっくに定時は過ぎている。
 半泣きになって言う深成をじろりと見、真砂はまだパソコンに向かっていた捨吉を呼んだ。

「握り飯でも買ってこい」

「晩ご飯ですか?」

 真砂が投げたコインを受け取り、捨吉が聞く。
 深成が、がばっと顔を上げた。

「おむすび? おむすびだけなの? ご飯なら、おかずも欲しいよぅ~」

「やかましい。普通の飯だったら、手が止まるだろうが。何をサボろうとしてるんだ」

 冷たく言う。
 ということは、ご飯中も休憩する気はないということか。

「きゅ、休憩したいよぅ~」

「阿呆。それだけ帰りが遅くなるだけだぞ」

 言いつつ、とん、と深成の机から持ってきたキャンディーポットを置く。

「あとはこれでも食っておくことだな。ちゃんとした食事にありつきたきゃ、とっとと仕事を終えやがれ!」

「うえぇ~ん」

 すっかり人気(ひとけ)のなくなったフロアで、真砂にしごかれつつ、深成はへろへろになりながらも、懸命にキーボードを打ち続けた。

・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
 い、いかん。
 どーしても真砂の意地悪エピソードを入れたいがために、とうとう1pの誓い(いや誓ってないけど)を破ってしまいました(-人-)このままずるずると長くなっていく可能性大だな。まぁいいか。
 今回は妖幻堂と夜香花のコラボであります。
 妖幻堂は現代に持ってきても、やっぱりどこか不気味( ̄∀ ̄)だって奴ら、人じゃないし。
 そしてまたまた千之助は、とばっちりを受けております。古参女房キャラ・狐姫には頭が上がりませんので。
 mira商社では夜遅くまで罵声が響いていることでしょうが、純正オフィスラブでは、ここで大人の恋愛模様が炸裂するのでしょうか(6 ̄ ̄)
 そもそも例え『ドS』であっても、『飴と鞭』はあるもんじゃないの?ドS真砂に、はたして『飴』はあるの?深成のキャンディーポットがそうなの?( ̄∀ ̄;)
 と、やはりメインは真砂のドSっぷりになってしまうのでした……。
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