酒乱のススメ
酒乱のススメ
その日もグローリア王城では、ある集まりが開かれようとしていた。そこは、ハートヴィル侯爵令嬢たるセシリアの部屋。
どうして、そこが会場となるのか。それには、切実ともいえる理由がある。
集まりの建前は『傍若無人なカルロスに悩まされるウィアを慰める』こと。しかし、それはあくまでも建前。
この集まりを仕切っているミスティリーナにすれば、集まる口実さえあればいいのだった。恒例となりつつあるこれに参加するのはウィアとセシリアにジャスティン。そして、仕切り人でもあるミスティリーナが参加するのは当然のことでもある。
だが、集まる理由が理由。会場は、騒いでも誰からも咎められない所がいい。ということで、常にセシリアの居室が使用されているのだった。
この会の発起人はセシリアではない。しかし、彼女自身も楽しんでいるのは事実。そのため、嫌な顔をするはずもない。
そして――
その日も彼女はミスティリーナから連絡を受けると、準備にいそしんでいるのだった。
「セシリア、いつも悪いな」
言葉でこそそう言っている。しかし、悪びれた様子もみせずに入ってくるジャスティン。そんな彼の様子に、セシリアは思わず笑い出していた。
もっとも、ジャスティンはそんなことを気にもしていない。彼は入ってくるなり、テーブルの上に用意されているものを見ると、喜びの声をあげているのだった。
「おい。今日は珍しいものを用意しているじゃないか」
「今日はもう予定もないでしょう。だからよ」
そう言いながら、セシリアはテーブルにグラスを手早く置いている。普段であれば紅茶で、と思っている彼女。しかし、たまにはカクテルもいいだろうと考えているのだった。
幸いなことに今日はこのあとこれといった予定があるわけではない。最近、出入りの商人から手に入れたちょっと珍しいカクテルがある。そのことを思い出したセシリアは、今回はそれを出すことにしたのだった。
そして、酒を飲むのが大好きというジャスティンに異論のあるはずもない。彼は思わずにんまりした顔で席についているのだった。そうしている間にも残りのメンバーもやってきている。その二人もセシリアが用意したカクテルに驚きながらも、特に抗議の声はあげないようだった。
「ねえ、リア。これってお酒なの」
見た目がジュースにしかみえないそれ。本当に酒なのかと、ミスティリーナは不思議そうな声をだしている。そんな彼女の様子にセシリアはクスクス笑っているのだった。
「そうよ。これはオレンジから作ったお酒なの。珍しいし、たまにはいいんじゃないかしら。果物からつくったお酒だから、飲みやすいはずだし」
「ふーん」
セシリアの言葉に安心したのか、それともオレンジから作ったというのに興味を持ったのか。ミスティリーナはグラスに注いだそれを一気に飲み干している。
「おいしいじゃない。こんなの飲んだの初めてだけど、いけるわ」
どうして、そこが会場となるのか。それには、切実ともいえる理由がある。
集まりの建前は『傍若無人なカルロスに悩まされるウィアを慰める』こと。しかし、それはあくまでも建前。
この集まりを仕切っているミスティリーナにすれば、集まる口実さえあればいいのだった。恒例となりつつあるこれに参加するのはウィアとセシリアにジャスティン。そして、仕切り人でもあるミスティリーナが参加するのは当然のことでもある。
だが、集まる理由が理由。会場は、騒いでも誰からも咎められない所がいい。ということで、常にセシリアの居室が使用されているのだった。
この会の発起人はセシリアではない。しかし、彼女自身も楽しんでいるのは事実。そのため、嫌な顔をするはずもない。
そして――
その日も彼女はミスティリーナから連絡を受けると、準備にいそしんでいるのだった。
「セシリア、いつも悪いな」
言葉でこそそう言っている。しかし、悪びれた様子もみせずに入ってくるジャスティン。そんな彼の様子に、セシリアは思わず笑い出していた。
もっとも、ジャスティンはそんなことを気にもしていない。彼は入ってくるなり、テーブルの上に用意されているものを見ると、喜びの声をあげているのだった。
「おい。今日は珍しいものを用意しているじゃないか」
「今日はもう予定もないでしょう。だからよ」
そう言いながら、セシリアはテーブルにグラスを手早く置いている。普段であれば紅茶で、と思っている彼女。しかし、たまにはカクテルもいいだろうと考えているのだった。
幸いなことに今日はこのあとこれといった予定があるわけではない。最近、出入りの商人から手に入れたちょっと珍しいカクテルがある。そのことを思い出したセシリアは、今回はそれを出すことにしたのだった。
そして、酒を飲むのが大好きというジャスティンに異論のあるはずもない。彼は思わずにんまりした顔で席についているのだった。そうしている間にも残りのメンバーもやってきている。その二人もセシリアが用意したカクテルに驚きながらも、特に抗議の声はあげないようだった。
「ねえ、リア。これってお酒なの」
見た目がジュースにしかみえないそれ。本当に酒なのかと、ミスティリーナは不思議そうな声をだしている。そんな彼女の様子にセシリアはクスクス笑っているのだった。
「そうよ。これはオレンジから作ったお酒なの。珍しいし、たまにはいいんじゃないかしら。果物からつくったお酒だから、飲みやすいはずだし」
「ふーん」
セシリアの言葉に安心したのか、それともオレンジから作ったというのに興味を持ったのか。ミスティリーナはグラスに注いだそれを一気に飲み干している。
「おいしいじゃない。こんなの飲んだの初めてだけど、いけるわ」