ドロップアウト
夜遅くに十三と解散した。

十三は何度も

「家に来いッ!」

と言ってきたが俺は断り続けた。

十三から別れて俺は一人海岸沿いの堤防に向かった。

堤防に腰掛け夜空を眺める。

「こんな夜中に餓鬼が何やっとるんだ。」

竹ノ内だ…。

「別に何もしてねぇよ。」

「そ。」

と言いながら竹ノ内は俺の隣に腰掛けてきた。

「昼間、さっさと家に帰れって言ったろ。」

「俺に家なんてねぇよ。」

「…何言ってんだ。お前にもちゃんとした家あるだろう。」

微笑みながら竹ノ内が言った。

「あの家の中じゃ、俺は邪魔者なんだよ…。俺がいないほうがオッサンもお袋も喜んでんだよ。」

「龍崎…。」

「あの家に居ると息が詰まりそうなんだよ。」

「…龍崎。そろそろ親父って呼んでみたらどうだ?…まぁ、無理にとは言わんがな。」

「呼べねぇよ。」

「どうしてだ?」

「俺の親父は神崎一郎(カンザキイチロウ)ただ一人だよ。オッサンは親父じゃねぇのに親父なんて呼べるかよ。」

そう言って俺は立ち上がった。
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