傷ついてもいい
「じゃあね。俺、ゼミのみんなに挨拶してくる」

「うん」

バイバイ、と手をふって、直己は、走り出した。

佳奈からわざと離れるみたいに。

もう、本当にお前のおせっかいはごめんだよ、と言われている気がした。



直己は、もう大学生じゃなくなってしまった。

その事実だけが、佳奈の手の中にいつまでも残った。
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