傷ついてもいい
「え?どういうこと?」
案の定、斎藤は、わけがわからないという顔をしている。

「前に話したことあったよね?親しくしてた女の子で。私以外行ける人がいなくて」

斎藤は、明らかに怒った顔をした。


「なんで佳奈がそこまでするんだよ!君、人が良すぎるんじゃないの?!」

「…ごめん」

佳奈は、それ以外の言葉が出てこなかった。


「…もういいよ…。行けば?旅行は、キャンセルしとくから」


斎藤は、大きなため息をつく。


「ほんとにごめんなさい!この埋め合わせは、絶対するから!」

佳奈は斎藤に手を合わせ、部屋を出た。


自分のしていることが、明らかに間違っていることは、わかっている。

けれど、止められなかった。

何かに突き動かされるように、佳奈は急いで病院に向かった。

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