傷ついてもいい
朝。

二人で一緒に朝食を食べた。

直己は、朝はいつも食欲がなくて、コーヒーしか飲まなかったけれど、佳奈は、無理矢理にトーストとスクランブルエッグを用意してみた。

「うん、なんかたまにはいいね。ちゃんと食べるのも」

直己は、トーストをかじりながら言う。

「これからは、なるべく食べたほうがいいよ。また倒れたら困るでしょ」

「うん」


なんでもない会話を交わしながら、佳奈は、別れの時間が一秒ずつ迫っていることを感じていた。

「俺、今月いっぱいでバイトやめるんだ。そんで実家に帰る」

「そっか。じゃあ、柚香さんとはちょっと遠距離になっちゃうんだね」

「そうだなあ。真ん中で会おうかな」

「うん、それがいいかもね」

佳奈は、二人のことが大好きだったから、幸せになって欲しかった。



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