傷ついてもいい
「じゃあ、俺、帰るね」

朝食を食べ終えると、直己は、スーツのポケットに丸めたネクタイを入れ、玄関に向かった。

「うん。元気で」


革靴を窮屈そうに履いて、直己は振り返る。

「バイバイ」

佳奈は、湧き上がる感情を抑えて笑顔を作った。

「バイバイ」

パタリ、とドアが閉まり、直己は出て行ってしまった。
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