傷ついてもいい
「え?まじで?!やった!」

妊娠を告げると斎藤は、飛び上がらんばかりに喜んで、佳奈を抱きしめてくれた。

「めちゃくちゃ嬉しいよ!あー、もうどうしよう!まずどうしたらいいんだ?」

「あはは、もう、翔太、落ち着いてよ」

いつもは、落ち着いている斎藤が珍しくオロオロしている。

佳奈は、斎藤の気持ちが嬉しくて、ゆっくりと背中を撫でた。

「これからのこと、ゆっくり話そう。二人で考えたら、きっと上手くいくよ」

「そうだな」

斎藤は、にっこりと笑って佳奈にキスをくれた。


新しい命。

今、自分のお腹の中にいるこの子も、いつか自分達のように笑ったり泣いたり悩んだりするようになるのだ。

佳奈は、とても不思議な気持ちだった。

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