傷ついてもいい
「いや、俺、こういうの好きなほうなんで。むしろ花村さんが料理上手じゃなくて良かった」

斎藤は、そう言ってビールを呑んだ。

「料理上手じゃないって、まだ食べたことないじゃないですか」

佳奈は少し拗ねてみせる。

なんだか斎藤の前だと素直に女を出せる気がした。


「ああ、ほんとだ。じゃあ今度是非食べさせてください」

「了解です」

二人で顔を見合わせて笑った。

大人の男の人ってこんなに楽チンだったっけ。

佳奈は、すっかりリラックスしていた。
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