傷ついてもいい
「…風呂、入って来る」

直己は、低い声で言うと立ち上がった。

「直己?」

「ごめんね。感情的になっちゃった。疲れてんのかなあ」

直己は、ニコリと笑顔をつくり、風呂場へ向かっていった。

ああ、失敗した。なんで、あんなこと言っちゃったんだろう。

今まで直己があんな顔をするのを見たことが無かった。

もう嫌われちゃったかな。明日の朝には、直己はもういなくなってるかもな。

佳奈は、悪い考えに押しつぶされそうになる。

「あーあ!大人ってめんどくさい!」

佳奈は、一人でつぶやくとビールをグイと飲み干した。
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