傷ついてもいい
「布団、干してくれたんだね」

直己は、ニコリと笑いかけてくれる。

「うん、天気良かったからね」

「ありがとね」

「いえいえ、どういたしまして」

二人で笑いあった。


「佳奈さんは、ちゃんとした家庭で育った感じがする」

「ええ?そうかな?普通だよ」

佳奈は、なんだか照れた。ほめられるのは苦手だ。

「普通が一番難しいよ」

直己は、朝陽がカーテンの隙間から入り込むのをまぶしそうに見ている。

「そっか。そうかもね」

直己の両親は離婚していて、直己は母親に育てられていた。

「早く就職決まって、お母さん安心させてあげれるといいね」

「うん」

直己は素直にそう言うと佳奈をじっと見つめた。

「就職決まったら出ていくから、もう少しここに居てもいい?できるだけ家賃も払うから」

「わかった」

佳奈は、直己の考えに従うことにした。

直己なりに色々悩んだのだろう。

朝陽に照らされた直己の横顔は、うっとりするくらいに綺麗だった。
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