傷ついてもいい
佳奈は、一人暮らしを始めてから、初めて男の人を部屋に入れた。そして、生まれて初めて、同棲というものを始めることになった。

まさかこんな形で、こんな相手と。

同棲初夜は、何事も起こらず、朝は爽やかにやってきた。


「おっはよー!佳奈さん!」

朝から、やたらとテンションの高い直己に圧倒されそうになる。

「おはよ。よく眠れた?」

「うん!めっちゃ眠れた!佳奈さんちの布団、気持ちいいねー」


年に1度ほど来る母親の為に割に良い布団を用意していた。

「あ、そう。それは良かった」

こっちは、ドキドキして、なかなか眠れなかったっちゅうの!

もしかして寝込みを襲われるかも、などと、少し甘い夢を見ていた佳奈は、ほとんど眠れなかった。

全く、最近の若い男は…

佳奈は、そう思って、ハッと我に返る。

私ってば、何を期待してんの?

こんな子供相手に。

そんな毎日を続けて、もう1ヶ月が過ぎようとしていた。








< 5 / 179 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop