傷ついてもいい
「はあー呑んだよ、今日は!あ、由奈ちゃん、ちゃんと帰ったからね、さっき」

「え?さっきって何よ」

佳奈は、直己に水を入れてやろうとして、驚いて振り返った。

「ん?だって飲み会行きたいって言うからさあ。友達が同じ方向だからって一緒にタクシーに乗って」

「あのさ、直己、うちの実家の場所はさ」

言いかけると、直己はもう眠ってしまった。

まったく!由奈のやつ、ちゃんと家に帰ったんだろうか。

心配になって電話をかけようとして、やめた。

由奈には由奈の考えも人生もあるのだ。
もう20歳だし、直己の友達なら大丈夫だろう。

少しずつ、少しずつだけど、変わっていきたい、と佳奈は思っていた。

由奈は、可愛い妹だし、ずっと自分の目の届くところにいて欲しいけれど。

直己の無防備な寝顔に癒されながら、そう思った。









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