傷ついてもいい
朝。

佳奈が起きてリビングに行くと、直己はまだ眠っていた。

額にそっと手をあてると、もう熱はないようだった。

「おはよ」

直己が目をあける。

「直己、具合どう?」

「うん、もういいみたい」

直己は、起き上がって伸びをする。

「良かったあ」

佳奈は、ホッとする。


「あのさ、佳奈さん、甘えてもいい?」

直己が少し悪戯っぽい顔をした。

「なに?なんか食べたい?」

「背中、拭いてほしい」

「え?あ、…うん」

佳奈は、急にドキッとした。

つい今迄、思わなかったのに、直己が男に見えてくる。

「ちょっと待ってて」


佳奈は、洗面器にお湯を張り、タオルをもってきた。


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