傷ついてもいい
「おはようございます…」

5分ほどだが、遅刻してしまった。

佳奈は、いつも嫌味を言う先輩の田中楓に見つからないようにコソコソとタイムカードを打ち、ソロソロと席に着く。

「おはよー、佳奈!」

いきなり声を掛けられてピクリとする。

同じ時期にバイトで入った中村麻衣子、28歳。

ここでは、唯一、友達と呼べる存在でもある。

「おはよ、麻衣子。あんまりデカイ声出さないでっ!」

「あー、ごめん、ごめん。でも、大丈夫だよ。田中女史、今日は、身内のご不幸とかでお休みだから」

「え、そうなんだ」

佳奈は、ホッと胸を撫で下ろした。


「けど、遅刻は遅刻だもんね」

佳奈は、他の事務の方達に「すいませんでした」と謝ってまわり、近くにいた 教授に仕事を戴いて席に戻った。

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