傷ついてもいい
「どうしたんだろうね、相澤くん」

お昼休み。ランチバイキングでリベンジをはかりながら、麻衣子が言った。


「ほんとにね」


電話は、実家も本人の携帯も留守電だった。

一応、メッセージは残したけれど、佳奈は心配で仕方なかった。

「あ、これ美味しいよ、佳奈」

麻衣子が野菜の煮物を食べながら言った。

「ほんとに?私も食べてみよ」


麻衣子と話しながら、キョロキョロと周りを、見回す。

ほんの少し前まで、直己は、ここでランチしたり、女の子達と合コンしたりする普通の学生だったのに。

…普通が一番難しいよ…

佳奈は、直己が言った言葉を思い出していた。
< 85 / 179 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop