幸せになる方法〜「ずっとそばにいたのに.....」スピンオフ〜
真由子と話していて、自分の周りにあったバリアがだんだん消えていくのがわかった。

俺がこいつに対して、いつの間にか作っていた見えない壁が。



別れの時を迎えてからというもの、諦める勇気もないくせに、諦めるふりをして、いつの間にか心優との思い出にしがみつくようになっていた。

心優がいる景色が記憶の中から薄れていくのが怖くて、自分の周りの壁を作り、他の奴を寄せ付けないようにしていた。



だから、最初は真由子のしていることに目を向けようともしなかったし、ましてや意図を理解しようなんて、これっぽちも思わなかった。

なのに、真由子は意固地になっていた俺に、何度も何度も本気でぶつかって来てくれた。

どんなに冷たくしても挫けずに、殻に閉じこもって偏屈になった俺の心を、少しずつ、少しずつ、融かしてくれた。



そして、知らず知らずのうち、折れそうな心を支えてもらっていたのに、なかなかそれに気付くことができなかった。

いや、わかりかけていたのに、すぐに認めることができなかった。

素直になれなかった。
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