あまのじゃくすぎる君はむしろ素直でわかりやすい


2年になってすぐ、大雨の日があって。
私は置き傘で、帰ろうとしたんだ。

そのとき、玄関前で空を見上げながら、傘も持たずに、今にもどしゃ降りの中を飛び出しそうなひとがいて。

私はとっさに、置き傘のビニール傘を差し出した。



「…あのときの、後輩っぽいなと思った子が丹羽くん?」


「後輩っぽいって…。」


あ!丹羽くんが目に見えて傷ついている。
悲しそうに、小さくため息を漏らし、頭を抱えてしまった。


「いや、だって。
小柄でマスクしてて、眼鏡だってしてた。
丹羽くんとは思わなかったよ。」


「…風邪ひいてたんだよ。
背は小柄で悪かったな。」



< 24 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop