あまのじゃくすぎる君はむしろ素直でわかりやすい
2年になってすぐ、大雨の日があって。
私は置き傘で、帰ろうとしたんだ。
そのとき、玄関前で空を見上げながら、傘も持たずに、今にもどしゃ降りの中を飛び出しそうなひとがいて。
私はとっさに、置き傘のビニール傘を差し出した。
「…あのときの、後輩っぽいなと思った子が丹羽くん?」
「後輩っぽいって…。」
あ!丹羽くんが目に見えて傷ついている。
悲しそうに、小さくため息を漏らし、頭を抱えてしまった。
「いや、だって。
小柄でマスクしてて、眼鏡だってしてた。
丹羽くんとは思わなかったよ。」
「…風邪ひいてたんだよ。
背は小柄で悪かったな。」